データ復旧で知っておきたい
150の用語
データ復旧用語集
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この用語集について
データ復旧を調べていると、「論理障害」「物理障害」「RAID」など、普段は見慣れない言葉が出てきます。この用語集では、データが消えたときや機器が認識しなくなったときに役立つ基礎知識に加え、業者選び、見積もり、契約、情報管理、データの受け取りに関する言葉をわかりやすく解説します。
依頼や料金に関する用語には、業界共通の定義がないものもあります。本用語集の説明は、個別の業者のサービス内容や契約条件を示すものではありません。実際の依頼では、その業者の見積書や利用規約で条件を確認してください。なお、「※スクラッチラボでは」で始まる注記は、スクラッチラボでの対応を示しています。
同じ症状でも、原因や記録媒体の状態によって適切な対応は異なります。大切なデータが読み出せない場合は、初期化や修復操作を進める前に、状況を確認することが重要です。
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データ復旧の基本用語
01データ復旧
故障や誤操作などにより読み出せなくなったデータを、記録媒体から取り出し、利用できる状態に戻すことです。HDDやSSD、USBメモリ、SDカード、NASなどが対象になります。機器が再び動くようにすることとは目的が異なり、必要な写真や文書、業務データなどの救出を優先します(ただし、暗号化されている場合など一部のケースでは、修理を行って機器を再び動かすこともあります)。復旧できる範囲は、障害の内容やデータの残存状態によって変わります。
02データ復元
削除したファイルを取り戻したり、バックアップからデータを戻したりすることを指します。「データ復旧」と明確に区別せず使われる場合も多々あり、業者によって使い分けは異なります。復旧・復元という名称だけでは作業内容を判断できないためご注意ください。
03機器修理
故障した部品の交換やソフトウェアの調整などによって、パソコンや記録機器を正常に動作させることです。データの取り出しを目的とするデータ復旧とは異なります。修理では、記録媒体の交換や初期化が行われる場合があります。保存データが必要なときは、修理を依頼する前に、データを残せるかどうかを確認しましょう。
04論理障害
ファイルや保存場所を管理する情報などに不整合が生じ、データを正常に読み出せなくなる障害です。誤削除、誤フォーマット、ファイルシステムの破損などが含まれます。機器自体が動いていても、フォルダが開けない、ファイルが消えたといった症状が発生します。物理障害と併発する場合もあり、画面の表示だけで原因を断定することはできません。
05物理障害
記録媒体の部品や回路、記録面などに物理的な故障や損傷が生じた状態です。落下や水濡れ、電気的なトラブル、部品の劣化などが原因になります。異音がする、認識しない、読み込みが極端に遅いといった症状が見られることが多いですが、特にこれらの兆候がないこともありますので判断は簡単ではありません。通電や読み取りを繰り返すことで状態が悪化する場合があり、復旧ソフトでは対処できません。
06初期診断
データ復旧の作業方針を決めるために、媒体の状態や障害の内容、データを読み出せる可能性などを確認する工程です。診断結果をもとに、必要な作業や費用、期間の見通しを立てます。初期診断の段階では、すべてのファイルの状態まで確認できない場合もあります。依頼時には、必要なデータとトラブル発生後に行った操作を伝えると役立ちます。
業者によっては、初期診断の段階で実質的にデータ復旧作業を最後まで終わらせる場合もあります。依頼するサービスで、初期診断にどこまでの作業が含まれるかを依頼前に確認しましょう。
07復旧率
データ復旧の成果を割合で示したものです。ただし、「依頼件数のうち復旧できた割合」「希望したファイルのうち取り出せた割合」など、業者によって算出方法が異なります。一部のデータが取り出せた場合を成功に含めることもあります。数値だけで比較せず、集計対象や成功の定義、自分が必要とするデータの確認方法を把握することが重要です。
高い復旧率を強調する広告だけで判断せず、算出方法や実際の対応内容をあわせて確認しましょう。社名で検索して評判を調べることも判断の助けになります。
※スクラッチラボでは、サービス全体の復旧率は公開しておりませんが、依頼者の媒体にあった元データが特定できた場合に限り、そのケースで何%のデータを復旧できたかを個別に提示することがあります。08成功報酬制
あらかじめ定めた復旧の成功条件を満たした場合に、料金が発生する仕組みです。希望したデータの一部が復旧できた場合の扱いなど、条件は業者によって異なります。また、診断料や部品代、送料などが別途かかる場合もあります。依頼前に、成功と判断する基準、復旧できなかった場合の費用、キャンセル条件を確認しましょう。
※スクラッチラボでは、完全成功報酬制を採用しており、必要なファイルが復旧できているかをお客様ご自身にご確認いただき、成否のご判断をお任せしております。記録媒体・保存機器の用語
09記録媒体・ストレージ
写真や文書、システムなどのデータを保存する媒体や装置の総称です。HDD、SSD、USBメモリ、SDカードなどが該当します。同じ「認識しない」という症状でも、媒体の構造によって原因や復旧方法は異なります。相談時には、機器の種類に加えて、メーカー名、型番、容量がわかると、状態の確認が進めやすくなります。
10HDD(ハードディスクドライブ)
内部の円盤を高速で回転させ、磁気を利用してデータを読み書きする記録装置です。パソコンや外付けドライブ、NASなどに使われています。内部に精密な可動部品があり、動作中の落下や衝撃によって故障することがあります。普段と違う音が出る場合は、繰り返し起動せず、使用を止めて状態を確認することが大切です。
11SSD(ソリッドステートドライブ)
半導体メモリにデータを保存する記録装置です。HDDのような回転部品がなく、高速に読み書きできる特徴があります。一方、制御回路やメモリの故障などにより、突然認識しなくなることもあります。データの管理方法がHDDとは異なるため、復旧にはSSDの構造に応じた対応が必要です。
12外付けHDD・外付けSSD
USBなどでパソコンに接続して使用する記録装置です。データの持ち運びやバックアップに利用されます。認識しない原因は、内部のHDD・SSDだけでなく、ケーブル、電源、ケース内の変換基板などにある場合もあります。機種によってはケース側の機能がデータの読み出しに関係するため、安易な分解や中身の入れ替えには注意が必要です。
13USBメモリ
USB端子に接続して使う、小型の記録媒体です。内部のフラッシュメモリにデータを保存します。誤削除や管理情報の破損のほか、端子の折れ、基板や制御部品の故障によって読み出せなくなることがあります。端子が曲がっている場合や接触が不安定な場合は、押し込んだり角度を変えて接続したりすると、損傷が広がるおそれがあります。
14SDカード・microSDカード
デジタルカメラやスマートフォン、ドライブレコーダーなどで使用される小型の記録媒体です。誤削除、フォーマット、書き込み中の電源断、媒体の劣化などでデータが読めなくなる場合があります。削除後に撮影や録画を続けると、必要なデータが上書きされる可能性があります。復旧したいデータがある場合は、そのカードの使用を止めましょう。
15NAS(ネットワーク接続ストレージ)
ネットワークを通じて、複数のパソコンなどからデータを保存・共有できる装置です。家庭の写真管理から企業のファイル共有まで幅広く使われています。アクセスできない原因には、ネットワークや権限の問題、本体の故障、内部ドライブの障害などがあります。複数のドライブを使用している機種では、構成情報も復旧の重要な手がかりになります。
16RAID(レイド)
複数のドライブを組み合わせ、読み書きの性能や故障への耐性を高める技術です。RAID 0、RAID 1、RAID 5などの方式があり、それぞれ仕組みが異なります。故障に備えられる方式でも、誤削除やファイルの破損まで防げるわけではありません。RAIDを使用していても、別の保存先へのバックアップが必要です。
17RAID 0(ストライピング)
データを複数のドライブに分散して保存する方式です。複数台を活用して読み書きの性能を高められる一方、故障に備えるための冗長性はありません。構成ドライブのうち1台に障害が起きると、配列全体のデータを正常に利用できなくなる可能性があります。復旧では、ドライブの順番やデータの分割単位などを確認します。
18RAID 1(ミラーリング)
同じデータを複数のドライブに書き込む方式です。一般的な2台構成では、1台が故障しても、もう1台からデータを利用できる場合があります。ただし、誤って削除した内容や破損したデータも両方に反映されるため、過去の状態を残すバックアップとは異なります。片方に障害が出た場合は、残るドライブの状態にも注意が必要です。
19RAID 5・RAID 6
データと、故障時の再構成に使う「パリティ」を複数のドライブに分散して保存する方式です。RAID 5は1台、RAID 6は2台のドライブ故障に耐えられる設計です。ただし、残るドライブが正常に読み出せることなどが前提になります。RAID 5のデータ配置とパリティの仕組みは、メーカーの解説でも確認できます。
20リビルド
RAIDのドライブ交換後などに、残っているデータやパリティを使って、交換先のドライブへ内容を再構成する処理です。通常の保守で行う作業ですが、多くの読み書きが発生します。ほかのドライブも劣化している場合は、処理中に別の障害が発生する可能性があるため、データが必要な状況では実行前の判断が重要です。
障害・症状に関する用語
21認識不良
接続した記録媒体が、パソコンや機器に正しく表示・認識されない状態です。ドライブが表示されない、実際と違う容量になる、接続が頻繁に切れるといった症状があります。ケーブルや電源の問題から、管理情報の破損、内部部品の故障まで、原因はさまざまです。「認識しない」という症状だけで、データが消えたとは判断できません。
22読み取りエラー・I/Oエラー
記録媒体とのデータのやり取りに失敗したときに発生するエラーです。I/Oは入力・出力を意味し、ファイルのコピー中やドライブへのアクセス時などに表示されます。媒体の故障だけでなく、ケーブルや接続機器の不具合が原因になることもあります。同じ場所で何度も処理が止まる場合は、繰り返し読み込まず、媒体の状態を確認する必要があります。
23不良セクタ
HDDなどの記録領域において、正常に読み書きができなくなった部分です。データの不具合やコピー停止の原因となり、悪化すると機器自体を認識しなくなる場合もあります。
データ復旧では、パラメータを変えて何度も読み込みを試みることで救出できるケースもありますが、基本的には不良セクタをスキップし、正常領域に存在するデータを確実に確保することを目的として作業を行います。
24ファイル破損
ファイルの内容や構造が損なわれ、正常に開いたり再生したりできなくなった状態です。保存中の電源断、記録媒体の障害、不完全なコピーなどで発生します。画像の一部が欠ける、動画が途中で止まる、文書を開くとエラーが出るといった症状が代表例です。ファイルを取り出せても、必要な情報が失われている場合は完全に修復できないことがあります。
25RAW表示
Windowsなどで、本来のファイルシステムを正しく認識できないときに、ドライブの形式が「RAW」と表示される状態です。管理情報の破損や読み取り障害などが原因になる場合があります。カメラで使うRAW画像とは別の意味です。必要なデータが残っている可能性があるため、フォーマットを求められても、そのまま実行しないことが重要です。
26異音
HDDから「カチカチ」「カッコンカッコン」といったクリック音や、「シャー」「ギギギ」と擦れるような異音が発生する症状です。通常の動作音と区別が必要ですが、内部部品の故障や記録面の損傷が関係している場合があります。音の種類だけで原因を確定することはできません。異常な音とともに認識不良などが起きている場合は、通電を繰り返さず、使用を止めましょう。
27ヘッド障害
HDDのデータを読み書きする「磁気ヘッド」に不具合が生じた状態です。読み取りができなくなる、異音が出る、認識しなくなるといった症状が発生します。損傷したヘッドが記録面に接触すると、データが保存されている部分まで傷つくおそれがあります。復旧には、内部の状態に応じた専門的な作業が必要になる場合があります。
28プラッタ(プラッター)損傷
HDD内部でデータを記録している円盤「プラッタ」の表面が傷つくなどして、正常に読み取れなくなった状態です。落下やヘッドの接触などが原因になります。損傷によって記録そのものが失われた部分は、復旧できない場合があります。ただし、損傷の範囲によっては、影響を受けていない領域からデータを取り出せる可能性があります。
※スクラッチラボでは、こうした「スクラッチ(記録面損傷)」からのデータ復旧を専門領域としています。29ファームウェア障害
記録装置の動作を制御する内部プログラムや、関連する管理情報に問題が生じた状態です。電源は入っていても認識しない、容量が正しく表示されないなどの症状が起こることがあります。一般的なファームウェア更新で解決できるとは限りません。必要なデータがある場合は、自己判断で更新や書き換えを行う前に状態の確認が必要です。
30S.M.A.R.T.(スマート)
HDDやSSDが、エラーの発生状況や使用状態などを記録・報告する機能です。機器の健康状態を判断する材料になりますが、すべての故障を予測できるわけではありません。特にSMR方式のドライブやSSDではS.M.A.R.T.の信頼性が下がっており、過信は禁物です。警告が出た場合はもちろん、早期のデータ保全を優先する必要があります。
データ管理・削除に関する用語
31ファイルシステム
記録媒体の中で、ファイル名や保存場所、空き容量などを管理する仕組みです。NTFS、FAT32、exFAT、APFSなどの種類があります。この管理情報が破損すると、データ自体が残っていても、ファイルやフォルダが開けなくなる場合があります。ファイルシステムごとに復旧のしやすさが異なり、アプローチも変わります。
32パーティション
1台の記録媒体を、複数の領域に分けて使用するための区切りです。1台のドライブをシステム用とデータ用に分ける場合などに使われます。パーティションの情報が削除・破損すると、ドライブが表示されなくなることがあります。領域が見えなくなっても、内部のデータがすべて消えたとは限りません。
33完全フォーマット(フルフォーマット)
記録媒体の全領域に対して不良セクタのチェックを行い、データを上書き(消去)して初期化する処理です。実行するとデータ領域も含めて上書きされるため、データの復旧は極めて困難(ほぼ不可能)になります。保存データを取り出したい場合は実行しないでください。
34クイックフォーマット
ファイルシステムの管理情報(目次)のみを作成し直す、短時間のフォーマット処理です。全領域を上書きする処理とは異なりデータ本体が残る場合もありますが、媒体の種類やTRIM機能の動作、その後の書き込みによって復旧の可能性が変わります。誤って実行した場合は、新たな保存や再フォーマットを行わないことが重要です。
35初期化
機器や記録媒体を、初期状態や利用開始時の状態に戻す操作の総称です。パソコンを工場出荷状態に戻す操作やディスクのフォーマットなど、画面や機器によって処理内容は異なりますが、ほとんどのケースで保存データが消去(または参照不能)されます。そのため、「初期化」という言葉が表示された場合は安易に実行せず、必ず具体的な処理内容を確認する必要があります。
36上書き
以前のデータが保存されていた領域に、新しいデータが書き込まれることです。削除直後はデータが残っている場合がありますが、その領域が再利用されると復旧が難しくなります。上書きは、ファイルの保存だけでなく、アプリのインストールやOSの動作によっても発生します。
また、復旧ソフトの保存先や、取り出したデータの保存先にも注意が必要です。カメラの場合は、写真や動画を撮り続けることも上書きになります。
37TRIM(トリム)
OSがSSDに対して「どのデータ領域が不要になったか」を通知する機能です。
TRIMの通知が行われると、後述の「ガベージコレクション」によってデータの物理消去が進むため、新たにファイルを保存していなくても復旧が急激に難しくなります。長らく「TRIMされたデータは復旧不可」とされてきましたが、近年では一部のコントローラーに対して復旧ソリューションが開発されています。
38ガベージコレクション
TRIMの通知などをもとに、SSD内部の不要データを実際に消去・整理して空き領域を再利用できるようにする処理です。「TRIM=消去対象の通知」「ガベージコレクション=実際の消去・整理作業」という関係にあります。利用者が操作していなくても、通電しているだけでバックグラウンドで処理が進行するため、削除データの残存状態に大きく影響します。
39暗号化
データを、正しい鍵や認証情報がなければ読み取れない形式に変換する仕組みです。機器の紛失や盗難による情報漏えいを防ぐために使われます。暗号化された媒体では、データ領域を正常に読み出せても、解読(復号)するためにキーが必要です。特にWindowsのBitLockerなどはユーザーが意図せず設定されているケースが多く、回復キーが見つからずに復旧不可となってしまうこともあります。復旧の相談時には、暗号化の有無や回復キーの保管状況を必ず確認・共有しましょう。
40BitLocker(ビットロッカー)
Windowsのドライブ暗号化機能です。設定や機器の状態が変わった際などに、ロック解除のための回復キーを求められる場合があります。回復キーはMicrosoftアカウントや組織の管理環境などに保存されていることがあります。Microsoftでも失われた回復キーを再作成することはできないため、保管先の確認が重要です。
復旧作業・データ保護に関する用語
41イメージ取得
記録媒体の内容を、別の媒体上のイメージファイルなどに複製する作業です。通常のファイルコピーでは扱わない管理情報や未使用領域も含めて取得し、複製側を解析することで元の媒体への負荷や劣化を防ぎます。
特に物理的な故障がある媒体では、読み取りエラーが発生する箇所をスキップしながら正常領域から優先的にイメージを取得していくのが標準的な手法です。現場では主に「PC-3000」などの専門装置を使用し、ファイルシステムをはじめとする重要な領域を状態に応じて細かく制御しながら取得していきます。
42クローン(ディスク複製)
元の記録媒体の内容を、別の記録媒体やイメージファイルへ丸ごと複製する作業(またはその複製)です。「イメージ取得」と同義で使われることも多く、元の媒体の劣化を防ぎながら安全に調査を進めるために行われます。また、複製したドライブから直接OSを起動させて動作確認やデータの救出を行う用途でも活用されます。
ただし、クローンを作成しただけで破損したファイルが自動的に直るわけではありません。また、障害のある媒体に対して一般的な複製ソフトを使用すると、負担がかかり症状を悪化させるおそれがあります。
43書き込み防止
復旧対象の媒体にデータが書き込まれないよう保護し、元の状態を保全することです。データ復旧では「PC-3000」などの専門装置を用い、媒体への書き込みを完全に遮断した状態で作業を進めます。また、外部からの遮断だけでは止まらないSSD内部のバックグラウンド処理に関しても、対応モデルであれば「セーフモード」で内部処理を停止させた上で安全にデータを抽出します。
44クリーンルーム・クリーンベンチ
HDDを開封・修復する際、ホコリの侵入を防ぐ専用設備です(しばしば「無菌室」と間違えて言及されますが、菌ではなくホコリを除去する環境です)。全体を管理する「クリーンルーム」と手元作業域を管理する「クリーンベンチ」があり、単純な優劣はありません。範囲が狭い分だけ清浄度の管理がしやすいクリーンベンチが、多くの復旧業者で採用されています。なお、開封作業はすべての復旧で必要なわけではなく、HDDを分解しプラッタを露出させる場合のみです。
※スクラッチラボでは、クリーンベンチを採用しています。45ドナー部品
故障した媒体からデータを読み出すために、交換用として使用するパーツです。HDDの磁気ヘッドや基板(PCB)などが該当します。同じメーカーや型番でも適合しない場合があり、製造時期やファームウェアバージョンなどの厳密な確認が必要になることもあります。
なお、ここでの部品交換は機器を元通り直す「修理」ではなく、データを一時的に救出するためだけの作業工程です。そのため、復旧作業後にその媒体をそのまま使い続けられるわけではありません。
46ファイルカービング
ファイル特有のデータ構造を手がかりに、記録領域から直接ファイルを探し出す方法です。ファイル名や保存場所を管理する情報(目次)が失われている場合に使われます。
データ復旧の体験談などで「フォルダ構造が元通りにならなかった」「ファイル名が変わっていた」という評価が見られますが、これは媒体側の目次情報(ファイルシステム)が破損していたことを意味します。どれほど高度な技術を持つ復旧業者であっても、目次情報が消失している場合はフォルダ構造や元のファイル名を再現することはできません。
47復旧ソフト
記録媒体のデータを解析し、消失したファイルを検出するソフトウェアです。復旧業者も論理障害の作業ではプロ仕様の高度なソフトを活用してデータ抽出を行います。
重要なのは、復旧ソフトは「物理的な故障」には一切効果がないという点です。ネット上で高い評価を得ているソフトであっても、異音や認識不良といった物理障害がある媒体に使えば、状態を悪化させるだけに終わります。評価の高さに惑わされず、まずは自分の媒体が物理的に壊れていないか見極めることが最優先です。実際に利用する際は、書き込みによる上書きを防ぐため、ソフトの導入先や保存先を別媒体に指定してください。
48ファイルシステム修復
ファイルやフォルダの管理情報にある不整合を調べ、整合性を回復させる処理です。Windowsの「CHKDSK(チェックディスク)」などが代表例です。
目的はあくまで「ファイルシステムをエラーのない状態に整えること」であり、必要なデータを安全に救出することではありません。処理中にデータの書き換えや上書きに相当する操作が行われるため、データが変形・消去されるリスクがあります。さらに、物理的に故障している媒体で実行すると過度な負荷がかかり、状態を決定的に悪化させる原因となります。データ保全を優先したい場合は、安易な実行は避けるべきです。
49バックアップ
故障や誤削除に備えて、データの複製を別の保存先などに保管することです。元の媒体が故障しても、正常なバックアップがあれば、そこからデータを戻せます。同じ機器内だけに複製すると、機器全体の故障で両方を失う可能性があります。また、最新の内容がそのまま反映される同期だけでは、誤削除前の状態を残せない場合があります。よく混同されますがRAIDはバックアップではなく一時的に動作を止めないための機能です。必ずバックアップを取りましょう。
50スナップショット
ある時点のファイルや記録領域の状態を保持する仕組みです。誤った更新や削除が起きた際に、以前の状態へ戻すために利用されます。ただし、保存方式によっては元の装置やデータに依存しており、装置全体が故障すると利用できなくなる場合があります。別の媒体や場所に保存するバックアップと組み合わせることが重要です。
ファイルシステム・ファイル構造の用語
51NTFS(エヌティーエフエス)
Windowsのシステムドライブ等で広く使われるファイルシステムです。ファイルを管理するMFTなどが破損するとデータが開けなくなりますが、構造が堅牢なためデータ復旧の見地からは比較的復旧しやすい特徴があります。復旧の現場では、管理情報の状態とファイル本体の読み出し可能性を見極めながら作業を行います。
52FAT32(ファットサーティーツー)
USBメモリやSDカードなどで幅広く使われるファイルシステムです。多くの機器で互換性がある反面、1ファイルの最大サイズが4GB(4GiB)未満という制限があります。
また、データ復旧の見地からは構造が比較的脆弱であり、障害が発生した際にファイル管理領域が破損しやすく、データを救出できても元のフォルダ構造やファイル名が不完全な状態(バラバラ)になりやすい傾向があります。
53exFAT(イーエックスファット)
大容量のSDXCカードや外付けドライブ等で使われるファイルシステムです。FAT32のような1ファイル4GBの制限がなく、WindowsとMacの両方で共有できる利便性があります。
しかし、変更履歴を記録する機能(ジャーナリング)がなく、予備の管理情報も持たないため、取り外し時のエラー等でデータが破損しやすい脆弱性があります。データ復旧の見地でも、管理領域が壊れるとFAT32同様にフォルダ構造やファイル名の再現が難しくなり、作業が非常に煩雑化しやすいファイルシステムです。
参考:Microsoft「File System Functionality Comparison」(51~53の機能比較)
54APFS(エーピーエフエス)
Apple製品のSSDに最適化されたファイルシステムで、暗号化やスナップショットなど先進的な機能を持ちます。
しかしデータ復旧においては、コンテナ構造の複雑さや暗号化の仕様により最も解析・救出の難易度が高いファイルシステムの一つです。管理領域が壊れた際の構造追跡が非常に難しく、暗号鍵や内部の破損状況に応じた高度な対応が求められます。
55HFS+(エイチエフエスプラス)
かつてApple製品で長年使われていたファイルシステムです。
コンテナ管理や不可分の暗号化構造を持つAPFSに比べると仕組みがシンプルなため、管理領域が破損した場合でも構造の追跡やデータの救出が比較的容易であり、復旧率はAPFSよりも高い傾向にあります。ファイル情報を統合管理する「カタログファイル」等の破損によってデータが見えなくなった場合でも、残存ログやシグネチャを解析することでデータや階層の復元を目指します。
56ext4(イーエックスティーフォー)
Linuxで使われるファイルシステムの一つです。サーバーや一部のNASの内部ドライブにも採用されています。Windowsに直接接続して開けなくても、Windows標準機能がその形式を扱えないだけの場合があります。フォーマットを行う前に、元の機器の構成やファイルシステムを確認することが重要です。
57MFT(マスターファイルテーブル)
NTFSにおいて、ファイル名・サイズ・保存先のセクタ位置などを記録している管理領域です。データ復旧の実務においては、作業の初期段階で最優先でMFTを確保し、解析を行うことで効率的かつ正確なデータ救出を進めます。元通りのフォルダ階層やファイル名を復元するための最大の鍵となりますが、このMFT自体が物理的・論理的に潰れている場合は、目次なしでデータ構造を探す(RAW復旧・カービングなど)難易度の高い作業へ切り替えることになります。
58ジャーナリング
ファイルシステムへの操作履歴を記録し、予期せぬ電源断やクラッシュによるデータ破損を防ぐ機能です。処理が中断された場合でも、残された履歴を検証することで矛盾なく正常な状態へ復旧させることができます。データ復旧の現場においても、このジャーナルログを解析することで、直前に行われたファイル操作やデータの位置情報を追跡する手がかりとなります。
59メタデータ
データ本体の属性や管理手順を記録した「データについてのデータ」です。ファイルシステムが保持する「ファイル名・保存場所・更新日時」などの情報と、画像ファイルの「Exif(撮影日時・位置情報・機器データ)」のようにファイル内部に埋め込まれたデータの2種類が存在します。
データ復旧では元の状態を再構成する鍵となります。管理領域の損傷で元のファイル名が消えてしまっても、Exifなどのファイル内メタデータが残っていれば、撮影日などを特定して復元データを判別する貴重な情報源となります。
60フラグメンテーション(断片化)
一つのファイルが記録媒体上の離れた領域に分かれて保存される現象です。
特に動画データの復旧では、データ自体は正常であっても構造や書き込み動作の仕様上、細かく断片化(インターリーブ配置等)されているケースが多く、復旧上の大きな障害となります。管理情報(目次)が失われると断片を正しく繋ぎ合わせることが極めて難しくなり、単純なデータ抽出では再生できない壊れた動画になりがちです。なお、データを取り出したい媒体でデフラグを実行すると、データの上書きを伴い状態を致命的に悪化させるため、行わないでください。
記録媒体の内部構造・接続方式の用語
61セクタ
HDDなどでデータを読み書きする際の基本的な単位です。OSから見える論理セクタと、媒体内部の物理セクタで大きさが異なる場合があります。セクタの一部を読み出せないと、その場所を使うファイルや管理情報が欠けることがあります。復旧では、読める領域と読めない領域を把握しながらデータを取得します。
62クラスタ
ファイルシステムがファイルに保存領域を割り当てる際の単位です。一つ以上のセクタで構成され、割り当て単位とも呼ばれます。ファイルの削除後、使っていたクラスタが再利用されると、元の内容が上書きされる可能性があります。クラスタはファイル管理上の単位であり、媒体内部の物理的な記録単位と同じとは限りません。
63NANDフラッシュメモリ
電源を切ってもデータを保持できる半導体メモリです。SSD、USBメモリ、SDカードなどに使われます。書き込みや消去の繰り返しによる劣化を防ぐため、制御部品(コントローラー)が誤り訂正や書き込み位置の分散を行います。
仮にメモリチップから直接データを読み出せたとしても、データ配置の変換や暗号化が施されているため、そのままの状態ではファイルを取り出すことはできません。元のデータに戻すには、コントローラーの挙動を再現・再構築する高度な解析作業が必要です。
64SSDコントローラー
SSD内部でデータの読み書きやメモリの管理を担う制御チップです。OSが指定する保存場所と実際の物理的な記録位置の対応付け、誤り訂正などを一手に担います。
コントローラーが故障すると、NANDメモリ側にデータが残っていてもアクセスできなくなります。さらに、近年のSSDではコントローラーとNANDメモリが独自の暗号化鍵で強力に紐づけられていることが多く、コントローラーが故障した時点で「データ復旧不可」となってしまうケースが非常に多いのが実情です。そのため、単純な部品交換やメモリチップの読み出しだけで元通り読めるようになるわけではありません。
65ウェアレベリング
フラッシュメモリの特定の領域に書き込みや消去が集中しないよう、使用する場所を分散させる仕組みです。SSDなどの寿命を延ばすために使われます。この処理により、OSから見える保存位置と実際のメモリ上の位置が単純には一致しません。復旧では、制御部品による位置の管理を考慮する必要があります。
参考:Kingston「SSD FAQ」(SSDの制御、TRIM、ガベージコレクションなど)
66ECC(誤り訂正機能)・LDPC
データ読み出し時のビットエラーを検出し、自動補正する技術です。SSDやHDDなどで正しくデータを読み出すために使われますが、補正できる限界を超えて劣化が進むと読み取り不能になります。
また、近年のSSDでは高密度化(TLC/QLC)に伴い、より複雑で高度なLDPC(低密度パリティ検査符号)への移行が進んでいます。LDPCはコントローラーの高度な処理能力に依存して補正を行うため、コントローラー故障時に生データからエラーを補正・解読することが極めて困難であり、最新SSDやUSBメモリ等からのデータ復旧率を著しく下げる大きな原因となっています。
67SATA(シリアルATA)
HDDやSSDなどをコンピューターに接続するための規格です。デスクトップパソコンや外付けケースの内部などで使われています。認識不良には、ドライブ本体だけでなく、SATAケーブルや電源、接続先の不具合が関係する場合があります。
68NVMe(エヌブイエムイー)
SSDなどの高速なストレージと通信するためのプロトコルです。パソコンの内蔵SSDでは、主にPCI Expressを通じて利用されます。SATAとは通信方式が異なるため、外付けケースや変換アダプターも対応する製品が必要です。形状が合うだけでは読み出せない場合があり、復旧相談では型番や接続方式の確認が役立ちます。
69M.2(エムドットツー)
SSDなどの拡張機器で使われる形状や接続部の規格です。M.2 SSDにはSATA方式とPCI Express/NVMe方式などがあり、「M.2」と「NVMe」は同じ意味ではありません。長さや端子形状、通信方式によって適合する機器が変わります。別の機器で確認する場合も、対応を調べずに無理に差し込まないことが重要です。
70USB変換基板(USBブリッジ)
HDDやSSDの通信をUSB接続で利用できるよう変換する回路です。外付けケースなどに組み込まれています。この基板の故障で、内部ドライブが正常でもアクセスできなくなる場合があります。暗号化やセクタの見せ方に関わる製品もあるため(主にWD製品)、ケースから取り出して直接つなげば必ず読めるとは限りません。
RAID・サーバー・仮想環境の用語
71パリティ
RAID 5やRAID 6などで、故障したドライブのデータを再構成するために使う計算情報です。元のファイルをそのまま複製したものではありません。再構成には、必要な数のドライブから正しい情報を読み出せることが前提になります。
72RAID 10(レイドテン・レイドイチゼロ)
ミラーリングとストライピングを組み合わせたRAID方式です。一般的には4台以上のドライブを使い、複製した組の間でデータを分散させます。複数台が故障しても利用できる場合がありますが、同じミラー組の両方が故障すると全体に影響します。故障台数だけでなく、どの組のドライブが故障したかが重要です。
73縮退運転(デグレード)
RAIDの一部のドライブが故障・離脱した状態で、残るドライブを使って動作を続けることです。冗長性のあるRAIDで利用できる場合がありますが、故障への余裕が減った状態です。アクセスできるからといって正常に戻ったわけではありません。エラー内容とバックアップの有無を確認し、追加障害を考慮して対応する必要があります。
74ホットスペア
RAIDのドライブ故障時に代わりとして使用する待機用ドライブです。対応する装置では、障害発生後に自動的に組み込まれ、リビルドが始まります。平常時から最新データの独立した複製を持つバックアップではありません。自動処理が行われるため、復旧相談ではホットスペアの有無や処理履歴も確認します。
75RAIDコントローラー
複数のドライブへのデータ配置や読み書き、障害時の処理などを制御する装置です。ドライブが正常でも、コントローラーの故障によって配列へアクセスできなくなる場合があります。交換時に設定を誤ると構成情報が変わるおそれがあります。復旧では、機種や設定、ドライブの接続順序などが手がかりになります。
76ストライプサイズ
RAIDでデータを分散して保存するときの単位の大きさを表す設定です。ただし、製品によって1台あたりの分割単位を指す場合と、配列全体のまとまりを指す場合があります。復旧時にこの値やドライブの順番を誤ると、ファイルが見えても内容を正しく再現できないことがあります。元の設定資料があれば保管しておきましょう。
77JBOD(ジェイボド)
複数のドライブをRAIDとして冗長化せずに扱う構成を指す言葉です。製品によって、各ドライブを個別に使う方式や、連結して一つの領域に見せる方式を意味します。故障時の影響範囲も方式によって異なります。「JBODだから故障していないドライブのデータはすべて読める」とは限らず、実際の構成の確認が必要です。
参考:Synology「RAID タイプの選択」(RAID方式とJBODの比較)
78LVM(論理ボリュームマネージャー)
物理的なディスク領域をまとめ、論理ボリュームとして柔軟に割り当てる仕組みです。Linuxサーバーや一部のNASで使われます。一つのボリュームが複数のドライブにまたがる場合があり、1台を取り出すだけではファイルを読めないことがあります。復旧では、物理領域と論理領域の対応を示す管理情報が重要になります。
79仮想ディスク
仮想マシンなどに対してディスクとして見せる、ファイルや論理的な記録領域です。VMDKやVHDXなどの形式があります。復旧では、保存先のストレージ、仮想ディスク、その内部のファイルシステムという複数の構造を確認する場合があります。差分ファイルを使う構成では、基になるファイルとの組み合わせも必要です。
80シンプロビジョニング
見かけ上の容量を先に確保し、実際にデータが書き込まれた分だけ物理領域を割り当てる方式です。仮想環境やストレージ装置で使われます。利用者側に空き容量が表示されていても、共有する物理領域が不足すると書き込みに失敗する場合があります。復旧では、割り当ての管理情報と実データの両方を確認します。
参考:Red Hat「Basic logical volume management」(LVMとシンプロビジョニング)
データ消失の原因・操作・表示の用語
81誤削除
必要なファイルやフォルダを操作ミスで削除することです。ごみ箱やサービスの削除済み項目に残っていれば、通常の機能で戻せる場合があります。完全に削除した場合でも媒体に内容が残ることはありますが、上書きやSSDのTRIMなどによって復旧できなくなる場合があります。削除した媒体への保存やアプリの追加は控えましょう。
82パーティション削除
記録媒体の領域を区切る情報を削除する操作です。領域が見えなくなっても、そこにあったファイルの内容が同時にすべて消えるとは限りません。ただし、その後に領域を作り直したりフォーマットしたりすると、管理情報などが変更されます。復旧したい場合は、自己判断で元の区切りを再作成しないでください。
83未割り当て領域
ディスク管理画面などで、パーティションとして割り当てられていないと認識されている部分です。新品の媒体だけでなく、領域の削除や構成情報の破損でも表示されます。「未割り当て」は、内部に以前のデータが存在しないことを意味しません。必要なデータがある媒体では、新規ボリュームの作成を進めないようにします。
84CRCエラー
データを読み出す際に計算結果が一致せず、正常にデータが取得できない状態です。OS上で「巡回冗長検査(CRC)エラー」と表示されます。
理論上は通信経路の不具合等も考えられますが、実務においては「不良セクタ」の発生、つまり物理故障が原因であるケースがほとんどです。CRCエラーが出ている状態で無理にコピーや操作を繰り返すと、破損領域が急拡大して状態を著しく悪化させるため、直ちに読み出しを中断して通電を避ける必要があります。
85書き込み禁止・読み取り専用
データを読むことはできても、追加や変更を行えない状態です。SDカードのロックスイッチ、アクセス権、機器の保護動作などが原因になります。故障したフラッシュ媒体が保護のため読み取り専用になる場合もあります。急に発生した場合は、解除や初期化を試す前に、読めるデータの保全と原因確認を優先します。
86電源断
停電や電源ケーブルの抜けなどによって、動作中の機器への電力供給が途切れることです。書き込み中に起きると、保存途中のファイルや管理情報が不完全になる場合があります。電源断があっても必ずデータが壊れるわけではありませんが、起動できない、修復を求められるなどの症状が出た場合は、復旧前の操作に注意が必要です。
87水没・水濡れ
記録機器の内部や基板に液体が侵入し、ショート(短絡)や激しい腐食を引き起こす状態です。見た目が乾いて見えても、内部に水分や不純物が残っている危険性があります。
特にジュースやスープなど糖分や塩分、添加物を含む液体は導電性が高く、急速な基板腐食や壊滅的なショートを引き起こしてダメージが一気に拡大します。動作確認のための通電や充電、ドライヤーによる加熱は状態を決定的に悪化させます。かかった液体の種類や経過時間を把握し、電源を入れずに専門業者へご相談ください。
88過電圧・電源サージ
想定を超える電圧が機器に加わる現象です。電源装置の故障や落雷、適合しないACアダプターの使用などで発生する場合があります。基板や制御部品が損傷すると、電源が入らない、認識しないといった症状につながります。焦げた臭いなどがある場合は再通電せず、使用した電源装置の情報も保管します。
89ゼロフィル
記録媒体の指定セクタ全体にゼロの値を上書き書き込みする完全消去処理です。データ復旧に対して「消えたデータもプロなら魔法のように元通りにできる」という誤解を持たれがちですが、ゼロフィルによってデータが物理的に塗りつぶされた場合、いかなる技術を用いてもデータを取り戻す術はありません。単なる消去とは次元が異なる不可逆な上書き処理であるため、必要なデータが残っている可能性がある媒体には実行しないでください。
90セキュアイレース
記録装置が備える専用の消去機能などを使って、データを消去する処理です。名称や具体的な方式は装置・ツールによって異なり、上書き、フラッシュの消去、暗号鍵の破棄などが関係する場合があります。適切に完了するとデータ復旧ができなくなるため、不具合への対処として実行する前に、必要なデータがないか確認します。
暗号化・バックアップ・復旧計画の用語
91FileVault(ファイルボルト)
Macの起動ディスク全体を保護する強力な暗号化機能です。利用者のパスワードや回復キー(Recovery Key)などの認証情報を用いてアクセスを制御します。
万が一の故障時に物理的な記録内容を吸い出せたとしても、暗号化を解除できなければファイルを利用・復元することができません。暗号鍵なしでの復号は不可能なため、復旧相談においてはMacの機種(T2/Apple Siliconなどのセキュリティチップ構造)、FileVaultの設定状況、およびパスワードの有無が可否を分ける最重要ポイントとなります。
92回復キー
暗号化機能(BitLockerやFileVaultなど)で、通常のログイン手段が使えなくなった際にロックを解除するための専用キーです。
一部の業者が「回復キーなしで復旧可能」と掲げるケースがありますが、これは暗号を解読しているわけではなく、元の基板やTPM(セキュリティチップ)を修復して自動解除を行わせる手法や、ハードウェアの隙を突いた特殊なバイパス処理によるものです。復旧業者であっても存在しない回復キーを無から生成することは不可能であり、基板の破損等でTPMからの鍵取得やバイパスが物理的に不可能な状況では、キーなしでの復旧は技術的に不可能です。
93ランサムウェア
データを高度に暗号化してアクセス不能にし、解除と引き換えに金銭(身代金)を要求する悪質な不正プログラムです。
暗号化されたファイルは構造自体が書き換えられているため、通常のデータ復旧ソフトや削除ファイルの抽出手順で元に戻すことはできません。感染時は被害拡大を防ぐため直ちにネットワークから隔離し、警察への報告・相談を行ってください。近年は警察庁サイバー警察局や各都道府県警察の捜査・国際連携が強化されており、復元鍵の特定や解除ツールの提供につながるケースも増えています。
94クラウド同期
端末とクラウドなどの間で、ファイルの状態をそろえる仕組みです。別の端末から同じデータを利用できますが、削除や変更もほかの場所へ反映される場合があります。同期されていることと、削除前の状態に戻せることは別です。トラブル時は、サービスのごみ箱やバージョン履歴、保持期間を確認する必要があります。
95バージョン履歴
ファイルの過去の保存内容を複数の版として保持する機能です。誤って上書きした文書などを、変更前の版へ戻せる場合があります。保持期間や版数、対象ファイルはサービスや設定によって異なります。履歴が同じ機器内だけにある場合は、機器全体の故障で利用できなくなる可能性もあるため、別の保存先への備えが必要です。
96オフサイトバックアップ
元のデータを保管する場所とは別の拠点に、バックアップを保存することです。火災や水害、盗難などで同じ場所の機器をまとめて失うリスクに備えます。遠隔地の設備やクラウドなどが保存先になります。ただし、場所を分けるだけでは不正アクセスや誤削除を防げないため、権限や履歴の管理も必要です。
973-2-1バックアップ
元データを含めて3つのコピーを持ち、2種類の媒体などに分け、1つを別の場所に保管する考え方です。一つの機器や場所の障害で、すべてのコピーを失うことを避けるために使われます。構成を整えるだけでなく、更新状況や復元できるかの確認も重要です。必要に応じて、ネットワークから切り離した保存なども組み合わせます。
98クラウドストレージ
OneDriveやiCloudなど、インターネット上の保存領域にデータを保管して利用するサービスです。多くのサービスでは「同期」によってPC内とクラウドのデータを常に同じ状態に保つため、手元のファイルを誤って削除したり破損させたりすると、クラウド側のデータも連動して消去・破損します。
同期は、正常なデータを別の場所に切り離して退避させる「バックアップ」とは異なる仕組みです。「クラウドに保存している=バックアップがある」と誤解して全データを失うトラブルが絶えないため、明確に区別して運用する必要があります。
99イメージバックアップ(システム・環境の丸ごと保存)
データファイルだけでなく、OSやアプリケーション、各種設定を含めたドライブ全体をそのまま一つのイメージファイルとして保存する方式です。
ドライブが物理障害やシステム破壊で完全に動かなくなった際でも、新しいドライブにそのまま書き戻すことで、トラブル前の作業環境を丸ごと短時間で復元できます。データだけのバックアップとは異なり、再セットアップの手間を大幅に削減できるのがメリットです。
相談・診断・見積もりの用語
100復旧希望データ
データ復旧作業において救出を目指す対象のことです。現場の作業としては、原則としてドライブ全体の全データ復旧を目指します。「写真」「特定の業務フォルダ」など具体的なファイル形式や保存場所を共有しておくことで、データ抽出後の確認や特定がスムーズになります。
101優先順位
重度物理障害などにより、媒体の通電可能時間や読み出し可能領域が極めて限定的な場合に設定するデータ救出の順序です。
状態の悪い復旧対象の場合、作業途中で媒体が完全動作不能に至る危険があるため、「業務データ」や「特定のフォルダ」など最重要な項目から優先的に抽出・確保します。
102受付番号・案件番号
預けた機器や相談内容、作業の進捗を識別するために業者が付ける番号です。問い合わせや追加情報の連絡、返却の確認などに使います。複数の機器を預ける場合は、各機器の型番・製造番号との対応も確認すると取り違えを防ぎやすくなります。
103概算見積もり
症状や機種などの情報から算出する、おおよその費用です。実物の状態を確認する前の目安であり、正式な診断後に金額が変わる場合があります。提示額に何が含まれるか、金額が上がる条件は何かを確認すると、予算を判断しやすくなります。電話で伝えられた金額は、メールなどでも残しておくと認識の違いを減らせます。
104正式見積もり
診断結果や作業範囲を踏まえて提示される費用の明細です。復旧作業費だけでなく、税、部品代、納品媒体代、送料などを含めた支払総額を確認します。「正式」と記載されていても追加費用の条件が設けられている場合があるため、金額の有効期限、対象データ、成功条件、作業開始後の変更手続きまで確認することが重要です。
105詳細診断・追加調査
初期確認だけでは判断できない障害や復旧の可能性を、さらに調べる工程です。長時間の読み取りや、部品の状態確認などが必要になる場合があります。初期診断が無料でも、この工程を有料としている業者もあります。調査の範囲、費用、機器の状態が変わる作業の有無、実行前の連絡方法を確認しましょう。
106障害レベル(軽度・中度・重度)
「軽度」「中度」「重度」といった障害レベルの分類は、データ復旧業界で統一された基準が存在せず、評価は完全に各社の独自基準によるものです。
同じ状態の媒体であっても、ある業者では安価な軽度作業と判断される一方、別の業者では高額な「重度物理障害」と判定される場合もあります。他社と比較する際はレベルの名称や文言に惑わされず、具体的にどのような障害に対してどのような作業工程が必要と判断されたのか、根拠を確認することが重要です。
107診断報告書
確認した症状や推定される原因、調査結果などをまとめた書類です。社内の承認や他社への相談に役立つ場合があります。ただし、記載内容や発行の有無、費用は業者によって異なります。原因が確定していない場合もあるため、確認済みの事実と推定を区別して読み、部品交換や開封を実施したかも確認するとよいでしょう。
108作業着手
データ復旧作業を正式に開始する工程です。
近年、一見すると完全成功報酬のように見せかけながら「復旧の成否にかかわらず高額な作業料やキャンセル料を請求する」ビジネスモデルをめぐり、利用者とのトラブルや裁判に発展する事例が相次いでいます。申込書の送信や見積もりへの同意がそのまま「作業着手=費用発生の確定」とみなされる契約構造もあるため、無料診断と有料作業の境界線、および「復旧不可だった場合の費用負担」について契約条件を必ず事前に確認する必要があります。
参考:弁護士ドットコムニュース
109作業同意書・申込書
一般的なデータ復旧において、作業内容や費用条件、媒体開封への同意などを確認する書類です。多くの業者ではトラブル防止のために締結されますが、業者側の「復旧成功の定義(ファイルが数件開ければ成功=請求確定など)」を一方的に盛り込んだ誓約書になっているケースも少なくありません。
※スクラッチラボでは、「復旧成功の定義はお客様自身が決める」というスタンスをとっているため、あえて拘束力のある契約書・申込書を設けず、口頭・メールでのご注文のみでお受けしています。業者の都合による形式的な成功基準を排除し、お客様が本当に欲しいデータを取得できたかどうかを基準とする、顧客側に非常に有利な仕組みです。料金・追加費用・キャンセルの用語
110診断料・調査料
媒体の状態や復旧の可能性を調べる作業にかかる費用です。無料の範囲や、有料となる媒体・作業は業者によって異なります。「診断無料」とあっても、詳細調査や他社作業済みの機器などに別条件が設けられる場合があります。復旧を依頼しないときや、復旧できなかったときにも支払いが必要かを確認しましょう。
111定額料金・固定料金
指定された条件のもとで費用が一定となる料金体系です。予算を立てやすい一方で、定額の範囲に含まれる作業が簡易的なものに限られている場合があります。ドナーパーツの調達や基板修復など高度な技術が必要な障害では、対応不可として断られたり、別料金が加算されたりすることもあるため、安さや「定額」という言葉だけで選ばず、料金に含まれる作業範囲を確認しましょう。
112容量別料金・従量料金
容量などの数量に応じて料金が変わる方式です。元の媒体の容量を基準にする場合と、取り出すデータ量を基準にする場合では、計算結果が異なります。少量のファイルだけが必要でも、媒体全体の解析が必要になることがあります。どの数量を数えるのか、最低料金や上限があるかを見積もりで確認します。
113最低料金・「○円から」表示
特定の条件で適用される最も低い料金を示すものです。表示された金額が、自分の依頼にも適用されるとは限りません。対象媒体や障害の条件、必要な追加費用を確認します。比較には広告の最小額だけでなく、自分の機器を診断した後の見積総額と、その金額で提供される作業内容を使うことが大切です。
114追加料金
当初の見積もりに含まれない作業や物品などに対して発生する費用です。追加の部品調達、対象の拡大、納品方法の変更などが理由になる場合があります。依頼前に、追加料金が発生する条件と上限、依頼者への確認方法を決めておくと判断しやすくなります。追加作業を断った場合の費用や返却条件もあわせて確認します。
115特急料金・優先対応料金
作業の順番や担当体制などを通常と変えるための費用です。早く着手するサービスと、特定の期限までの納品を約束するサービスは同じではありません。物理的な読み取り時間など、短縮できない工程もあります。何が優先されるのか、希望日に間に合わない場合や復旧できない場合の料金はどうなるかを確認します。
116部品代・ドナー調達費
データ復旧作業で使用する交換用パーツ(ドナー機器等)の調達にかかる費用です。適合する部品の確保に時間がかかる場合や、業者によっては「復旧不成立時でも部品代のみ発生する」「事前連絡なく追加請求される」といったケースがあるため、事前の確認が重要です。
※スクラッチラボでは、基本的に部品代やドナー調達費を追加で請求することはございません。ただし、市場流通数が少なく高額なドナー調達が必要となる極めて特殊なケースに限り、別途ご相談させていただく場合がございます。その場合も、必ず事前にお見積もりとご連絡を行い、ご了承をいただいてから手配を進めますのでご安心ください。117キャンセル料
作業依頼を取りやめる際に発生する費用です。一般的な業者では、診断後や作業着手後の辞退に対して高額なキャンセル料を設定している場合があります。
※スクラッチラボでは、原則としてキャンセル料は一切存在いたしません。ただし、一部の特殊なケースなど、どうしても例外的に費用が発生する場合には、必ず作業着手前にお見積もり・事前案内を行い、ご納得いただいた上でしか進めない仕組みをとっております。118送料・返送料
機器や納品媒体の配送にかかる費用です。業者によって負担ルールは異なり、依頼時、復旧成功時、キャンセル時などの状況によって誰が費用を負担するかが変わります。
※スクラッチラボでは、正式にご依頼いただいた案件の返送料は無料でお届けいたします。一方、キャンセルとなった場合やデータが復旧できず未受注となった場合は、着払い(お客様負担)でのご返送となりますのであらかじめご了承ください。119支払条件(前払い・後払い・請求書払い)
データ復旧料金をいつ、どのような手段で決済するかを定めた条件です。支払いのタイミングや入金確認の要否は、データの納品スピードや全体スケジュールにも直結します。
※スクラッチラボでは、原則として「前払い」をお願いしておりますが、独自の決済フローをお持ちの官公庁や自治体、大手企業様との取引においては「掛払い(請求書払い・後払い)」にも柔軟に対応しております。業者選び・広告・対応体制の用語
120相見積もり
費用や対応条件を複数社で比較検討する手法です。障害媒体の物理的な破損度合いや内部構造は、実際に実物を解析しなければ正確な判定ができません。そのため現物なしでの概算見積もりでの比較には自ずと限界があります。一方で、実物診断のために複数業者で通電や開封を繰り返せば、それだけで媒体の寿命が尽きてデータが完全に失われる危険が生じます。相見積もりは価格の比較だけでなく媒体に与えるリスクとのトレードオフであることを理解しておく必要があります。
121他社復旧不可・他社作業済み
すでに別のデータ復旧業者にて初期診断や取り出し作業が行われた機器を指します。
データ復旧の可否は、作業を行うエンジニアの技術力、保有する設備、アプローチ手法によって大きく異なります。そのため、他社で復旧できなかった機器であっても、別の業者でデータを救出できる場合があります。
※スクラッチラボでは、他社で復旧できなかった機器からも、異なるアプローチによってデータを救出できたケースが少なくありません。すべての機器の復旧を保証するものではありませんが、可能性が残されている限り、セカンドオピニオン・サードオピニオンとして全力で対応いたします。122自社復旧・自社ラボ
データ復旧の作業を外部に委託せず、自社の設備と技術者で行うことです。「自社ラボ完備」「自社復旧」といった表現は広く使われていますが、実際の作業体制を利用者が外から確かめるのは容易ではありません。宣伝文句や抽象的な言葉だけで判断せず、具体的かつ詳細な復旧事例が提示されているか、技術的な情報の発信が継続的になされているかも判断材料にするとよいでしょう。
※スクラッチラボでは、多数の復旧事例の公開や、YouTubeでの積極的な発信を行っております。123外部委託・再委託
受けた復旧作業の全部または一部を、外部の業者へ委託することです。
委託の有無や委託先が明示されていない場合、実際にデータを扱う業者や責任の所在がわかりにくくなります。依頼前に、作業を自社で行うか、委託する場合はその範囲と委託先の情報管理体制を確認しましょう。
※スクラッチラボでは、外部委託を行わず、すべての工程を自社ラボ内で一貫して対応しておりますので、安心してお預けいただけます。124メーカー提携・推奨業者
機器メーカーとの協力関係や紹介関係などを示す表現です。関係の内容は、技術協力、窓口紹介、保証上の取り扱いなど、個別に異なります。提携があることだけで、復旧の成功や無償対応が保証されるわけではありません。対象製品とサービス、メーカー側の案内、保証への影響を確認しましょう。
125相談実績・受付件数
問い合わせや相談を受けた回数を集計した数値であり、マーケティング上のアピールとして大きく表示されがちな項目です。しかし、単なる概算見積もりの電話や同一案件での複数回の連絡もカウントに含まれているケースが多く、技術力の高さや復旧率を示す客観的なデータではありません。
たとえ数万件規模の実績が掲げられていても、結局のところ「自分の症状が復旧できるか」の答えにはなりません。アピールされた数値で安心せず、障害内容に即した正確な診断と説明が得られるかを基準に判断すべきです。
126復旧実績・対応実績
過去に復旧や作業を行った案件の記録です。「対応」には、相談や調査までの案件が含まれる場合があります。事例を読むときは、自分の媒体や症状との共通点、取り出せたデータの範囲、利用可能かの確認方法を見ます。同じ型番の成功例があっても、損傷や上書きの状態によって結果は変わります。
127最短即日・即日対応
当日中に何らかの対応を行うことを意味する表現ですが、「即日で全データが戻ってくる」と錯覚しやすいため注意が必要です。
数百GB〜数TBに及ぶデータの転送やコピーには、健全なドライブであっても相当な時間を要します。障害媒体の場合は慎重な制御や読み直しを行いながらデータを抽出するため、データのコピー処理だけで丸一日以上かかることも珍しくなく、即日で復旧まで完了する案件はごく一部に限られます。
12824時間受付・24時間作業
夜間を含めて問い合わせや申込を受け付ける体制を「24時間受付」、復旧作業を夜間にも進める体制を「24時間作業」と呼びます。ただし、対象や条件は業者によって異なります。受付窓口が開いていても、技術者の確認や発送が翌営業日になる場合があります。夜間の相談では、次に診断や進捗連絡が行われる時刻も確認すると見通しが立ちます。
129オンサイト復旧(出張復旧)
技術者が依頼者の拠点へ出向いて作業する方式です。情報管理上の理由などで機器を外部へ持ち出せない場合に検討されます。現場で使える設備や障害の内容によって、対応できる範囲は変わります。出張費、作業場所・電源の条件、持ち帰りが必要となる場合の扱いを確認し、すべての物理障害に現場対応できるとは考えないことが大切です。
機器の預け入れ・情報管理の用語
130預かり証・受領確認
業者が機器を受け取ったことを示す書類や連絡です。機器名、製造番号、台数、同梱品、外観の状態などを記録しておくと、返却時の確認に役立ちます。NASやRAIDではドライブの順番も重要です。発送前に外観と接続状態を撮影し、取り外しが必要かどうかは先に業者へ確認しましょう。
131梱包・発送指定
輸送中の損傷を抑え、必要な機器を正しく届けるための案内です。緩衝材で動かないように固定するなど、媒体の種類や状態に応じた扱いが必要です。水濡れ機器やバッテリーを含む機器には個別の注意点があります。NASを本体ごと送るか、電源装置を同梱するかなども、自己判断せず受付先の指定を確認します。
132本人確認・依頼権限の確認
申込者が誰で、その機器やデータの復旧を依頼できる立場かを確かめる手続きです。会社所有の機器や代理人による依頼などでは、所有者や管理者の確認が必要になる場合があります。求められる書類や手続きは業者・案件によって異なります。本人確認書類などは、指定された安全な方法で提出します。
133秘密保持契約(NDA)
作業で知り得た情報の利用や開示などについて、当事者間で取り決める契約です。顧客情報や社内資料を含む機器を預ける場合に検討します。対象情報、利用目的、委託先への適用、契約終了後の扱いなどを確認します。契約の締結だけで情報管理が完了するわけではなく、実際の閲覧制限や保存・消去の運用も重要です。
134データ閲覧範囲
復旧や動作確認のために、担当者がどの情報を確認するかという範囲です。ファイル名の確認だけでなく、画像や文書を開く必要が生じる場合があります。機密性の高い情報があるときは、閲覧が必要となる工程や担当者の制限、依頼者自身で確認できる方法を相談します。内容を見ずにすべてのファイルの正常性を保証できるとは限りません。
135個人情報の取り扱い
申込者の連絡先や、媒体内に含まれる個人に関する情報を、どのように利用・管理するかという方針と運用です。問い合わせで入力する情報と、預けた媒体内の情報の双方が対象となり得ます。利用目的、作業上の閲覧、委託、保管、消去、問い合わせ窓口を確認します。会社の顧客データを預ける場合は、社内の管理規程との整合も必要です。
136ISMS認証
組織の情報セキュリティ管理の仕組みを、規格に基づいて第三者が審査・認証する制度です。業者の情報管理体制を確認する材料になります。ただし、データ復旧技術の性能や、情報漏えいが起きないことを保証する認証ではありません。認証の有効性に加え、依頼するサービスや実際の作業拠点が認証範囲に含まれているかを確認します。
137プライバシーマーク(Pマーク)
個人情報を適切に取り扱う体制を整備していると評価された事業者に、使用が認められるマークです。個人情報の管理体制を見る際の材料になりますが、復旧率や復旧技術を認定するものではありません。表示されている事業者名と契約先が一致するか、有効な付与状況かを確認し、個別のデータ管理条件もあわせて確認します。
138データ保管期間
業者が復旧データや作業用の複製などを保持する期間です。納品後の問い合わせや再納品に備える場合がありますが、対象や期間はサービスによって異なります。期間を過ぎると再納品できない場合があるため、起算日と削除予定、延長の可否を確認します。機密データの保管を望まない場合は、納品後の確認方法と消去のタイミングを相談しましょう。
139作業用データの消去
データ復旧完了後に、業者の作業用ストレージやサーバーに残された「解析用コピーデータ」を破棄・消去するプロセスです。
データ復旧業者は消去サービス事業者ではないため、元の故障媒体に対する消去証明書などを発行することは通常ありません。対象となるのはあくまで「復旧作業のために一時保存された顧客データ」であり、納品確認後に情報漏えいを防ぐため速やかにデータが完全消去される運用になっているかどうかがポイントとなります。
復旧結果の確認・納品・依頼後の用語
140データ整合性確認
復旧されたデータが構造的に壊れていないかを確かめる処理です。全データの中身までを個別に確認するわけではありませんが、ヘッダー情報等の解析によってファイルとして機能するかを判別します。データ復旧の可否判断において重要となる工程です。
※スクラッチラボでは、この確認結果を次項の復旧データリストに明記しています。ファイル名が残っているだけでなく、実際に開ける状態にあるかを事前に確認できるため安心です。141復旧データリスト
復旧できたファイルやフォルダの一覧を示した確認用リストです。
一般的な業者で提示されるリストはファイル名や容量が並んでいるだけのケースが多く、リストに名前が載っていても実際にファイルが開ける(壊れていない)状態かまでは判断できません。
※スクラッチラボでは、自社開発した専用検証ツールを用いてファイルごとの破損の有無まで判別したデータリストを提供しております。142一部復旧・部分復旧
希望データのうち一部を取り出せた状態です。多くのファイルが戻っていても、最も必要なデータが含まれない場合があります。逆に、少量でも重要なデータが取り出せれば目的を満たすことがあります。一部復旧を成功として料金が発生するか、希望データをどの方法で確認するかを、作業開始前に取り決めておくことが重要です。
143プレビュー・サンプル確認
抽出されたファイルが正常に開けるか、内容を確認するプロセスです。
一般的な業者では、業者が選んだ数枚の写真サムネイル画像を提示する程度にとどまることが多く、重要文書や動画が本当に最後まで正常に閲覧・再生できるかまでは判断できません。
※スクラッチラボでは、ご来店いただければ実際の復旧結果をご自身で納得がいくまで直接開いてご確認いただけます。データが正しく使える状態かを目の前で徹底的にチェックした上で、費用発生や正式なご依頼の可否を判断していただける安心の仕組みです。144納品媒体
復旧したデータを保存して受け取るHDDやSSDなどです。業者が用意する場合や、依頼者が持ち込める場合があり、料金や条件は異なります。媒体が譲渡品か貸出品か、必要容量、利用するパソコンとの互換性、暗号化の有無を確認します。貸出品の場合は、返却期限までに別の保存先へコピーし、内容を確認する必要があります。
145オンライン納品
ダウンロードなどの方法で復旧データを受け取ることです。物理的な媒体の到着を待たずに受け取れる場合がありますが、データ量や通信速度によって転送に時間がかかります。ダウンロード期限、認証方法、容量制限、保存先の空き容量を確認します。URLやパスワードの共有範囲にも注意し、受領後はファイルがそろっているかを確かめます。
146先行納品・分割納品
復旧できたデータの一部を先に渡すなど、複数回に分けて納品する方法です。業務再開に必要な少量のファイルを急いで受け取りたい場合に役立つことがあります。対応できるかは媒体の状態や作業工程によります。追加料金、先に渡す対象、残りのデータの予定、全体の完了条件を確認しましょう。
147検収・確認期限
データ復旧業界において、データ受領後に確認期間を置いてキャンセルを判断するような「検収」の仕組みは一般的に存在しません。データを送付・手渡しした段階で請求および契約が確定します。データをお渡しした後のキャンセルを認めると、データのコピーや持ち逃げといったトラブルを防止できないためです。
データの品質確認は必ず「納品前(決済前)」の段階で行われるのが原則であり、発送後の取り消しや検収の猶予期間は一切ないことを理解しておく必要があります。
148元媒体返却・原状返却
依頼時に預けた故障媒体を返してもらうことです。返却されることと、依頼前の状態に完全に戻ることは同じではありません。開封や部品交換などが行われると、外観や内部の状態が変わる場合があります。「原状返却」の範囲、交換前の部品や付属品の扱い、返却時期を確認し、再相談が必要なら実施作業の記録も受け取ります。
149再調査・再納品
納品後に不足や読み取り不良などが見つかった際に、再度調べたりデータを渡し直したりする対応です。保管中のコピーで対応できる場合と、元媒体の再作業が必要な場合があります。受付期間、対象となる不具合、追加料金を確認します。必ず追加のデータを取り出せるとは限りません。
150納品後のバックアップ
復旧データを受け取った後に、納品媒体とは別の保存先へ複製を取っておくことです。
データ復旧の現場では、手元に届いた納品用HDDをそのままメインストレージとして使い続け、数ヶ月後や1年以上経ってから「また壊れて読めなくなった」と再依頼になるケースが時折あります。新品で正常な媒体であっても絶対に壊れないハードウェアは存在せず、1台の媒体に依存し続ける限りデータ消失のリスクは常に残ります。
納品データを受け取ったら、必ず別のPCやクラウドなどにもバックアップを取り、複数の場所に分けて保存してください。一度救出した大切なデータを二度と失わないための正しい運用が不可欠です。
監修者プロフィール
株式会社FIX代表取締役。2003年の創業以来、パソコンやネットワークのトラブル対応に携わる。2008年にパソコン修理、2014年にデータ復旧へと事業を広げ、2025年にはデータ復旧事業を専門ラボ「スクラッチラボ」として独立させ、秋葉原に開設。診断から納品までを自社ラボで完結させ、状況と作業内容をきちんと説明できる復旧を重視している。現在は他社で「復旧不可」とされた重度物理障害やスクラッチ障害を中心に、同業者からの依頼にも応えている。
飯野 文広
データのトラブルが発生したときは
データ復旧の可能性は、障害の原因だけでなく、トラブル発生後の操作によっても変わります。大切なデータが読み出せなくなった場合は、初期化やフォーマット、新たなデータの保存を控え、発生した症状や画面に表示された内容を記録してください。
相談時には、機器の種類・型番、症状が起きたタイミング、その後に行った操作、優先して取り出したいデータを伝えると、状況を把握しやすくなります。異音や落下、水濡れなどがある場合は、繰り返し動作確認をせず、専門業者へ相談しましょう。
「復旧不可」と告げられたそのデータ、
まだ諦めないでください。
他社で「不可能」とされたデータも、諦めるのはまだ早いです。 復旧の成否は、設備の質とエンジニアの
経験値で決まります。私たちは世界標準の設備と、数々の難案件を解決してきた実績があります。
他店で断られたそのデバイス、私たちが「最後の希望」としてお預かりします。
お見積りも、作業費も、0円※です。 ※復旧データリストをご確認いただき、納品を希望される場合にのみ費用が発生いたします。
キャンセルの場合、機器の送付・返却にかかる往復の送料は、お客様のご負担となります。