QNAP TS-233復旧事例|SEDロック・ファームウェア障害から2TB超を救出|スクラッチラボ

復旧事例|2026年05月26日

QNAP製の2ベイNAS「TS-233」が突然認識しなくなったとのことで、データ復旧のご依頼をいただきました。診断の結果、内蔵されている2台のHDD(WD40EFPX)双方に、深刻な制御システムの異常と物理的な劣化が発生していることが判明しました。

1. ご相談の経緯と診断結果

専用設備(PC3000)で詳細な診断を行ったところ、HDDを制御する「ファームウェア障害」が主な原因であることが特定されました。

復旧対象のQNAP NAS外観
復旧対象のQNAP NAS外観

2. 作業内容

まず、2本のHDDそれぞれのシステムエリアを修復し、SEDロックを解除する処置を行いました。データ抽出を開始した直後、片方のドライブで「ヘッド劣化」が進行し読み取り不能となりましたが、もう一方のドライブから最新のメタデータを回収。残る1本に集中してイメージ取得を進めましたが、こちらも途中でヘッドが劣化したため、クリーンベンチ内での精密なヘッド交換作業を実施しました。

搭載されていたWD Red Plus HDD
搭載されていたWD Red Plus HDD

3. 復旧結果

物理的なヘッド交換と高度なファームウェア修復を組み合わせた結果、不安定だったドライブからのデータ抽出に成功。最終的に、ルートディレクトリ以下のフォルダ構造を維持した状態で、約2.07TB(2,237,895ファイル)のデータを無事に復旧いたしました。

4. 技術者からのひとこと

今回のQNAP NASのように、SEDロックやファームウェア障害が物理的なヘッド故障と併発しているケースは非常に難易度が高くなります。市販のソフトや一般的な修理店では対応が難しい「重度障害」であっても、専門的な解析技術を駆使することでデータを救い出せる可能性は十分にあります。


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執筆者プロフィール

情報処理安全確保支援士。新卒で警察庁技官としてフォレンジック業務に従事。情報通信局長賞をはじめ、警察大学校附属の情報通信学校長賞など多数の表彰経験がある。その後、大手データ復旧業者を経て、株式会社FIXに入社。同社にてHDDやSSD、フラッシュメモリ、RAIDの論理障害から物理障害まで復旧業務の全工程に携わる。特にHDDの重度物理障害を得意とし、プラッターに傷が発生したスクラッチ障害を年間100件近く取り扱い、その多くを復旧に導いている。

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