〖復旧事例〗Seagate ST500LM021|ヘッド吸着(スティクション)による起動不良からのデータ復旧

復旧事例|2026年05月26日

概要

今回ご相談いただいたのは、Seagate製HDD「ST500LM021」のデータ復旧案件です。
お預かり時点では未開封の状態で、HDDが正常に起動できないとのことでご相談いただきました。

内部を確認した結果、
原因は「ヘッド吸着(スティクション)」と呼ばれる障害でした。
ヘッドがプラッター表面へ吸着してしまい、
プラッターの回転を妨げることで、
HDDが正常にスピンアップできない状態となっていました。

ST500LM021 ヘッド吸着障害
ST500LM021 ヘッド吸着(スティクション)障害

ヘッド吸着は、
ノートPC向けHDDなどで発生することがある物理障害の一種です。
無理に通電を続けると、
プラッター表面へ傷が発生するリスクもあります。

ご相談時の状態

お客様からは、
「HDDが起動しない」
「正常に認識されない」
という症状でご相談をいただきました。

HDDは未開封状態で、
外観上に大きな破損や変形は確認されませんでした。

下の写真は、お預かり時のHDD本体です。

ST500LM021 HDD本体

ヘッド吸着(スティクション)の確認

HDD内部を確認したところ、
ヘッドがプラッターへ吸着している状態が確認されました。

ヘッド吸着(スティクション)は、
ヘッドがプラッター表面に張り付いてしまい、
モーターが正常に回転できなくなる障害です。

下の写真は、内部確認時のプラッター状態です。

ST500LM021 プラッター状態
内部確認時のプラッター状態

この状態で無理に通電を続けると、ヘッドがプラッター表面を傷付け、
スクラッチ障害へ進行する可能性があります。
そのため、状態確認と処置は慎重に行う必要があります。

診断内容

本件では、プラッター表面への深いスクラッチは確認されませんでした。
そのため、ヘッド吸着を解除したうえで、
HDDが正常回転できる状態へ戻す作業が必要です。

ヘッド吸着障害は、症状としては「全く起動しない」「モーターが回転しない」「ビープ音のような異音がなる」
といった状態になることがあります。

ただし、吸着状態で無理な通電を繰り返した場合は、
プラッターへ傷が発生しているケースもあるため、
状態確認が非常に重要になります。

作業内容

1. ヘッド吸着状態の解除

まず、プラッターへ吸着しているヘッドを慎重に解除しました。

無理な力を加えると、プラッター表面へ損傷が発生する可能性があるため、
状態を確認しながら慎重に作業を進めています。

2. 起動状態の確認

ヘッド吸着解除後、HDDが正常にスピンアップできるかを確認しました。

起動状態を安定させた後、データ領域へのアクセス確認を行い、
読み取り可能範囲を分析しました。

3. データ抽出

状態確認後は、HDDへ負荷をかけすぎないよう注意しながら、
データ抽出作業を進めました。

物理障害案件では、初期状態の分析と適切な処置が、復旧結果へ大きく影響します。

技術者コメント

ヘッド吸着(スティクション)は、
HDDが長期間停止していた場合や、
物理的な衝撃などをきっかけに発生することがあります。

症状としては、
「モーターが回らない」
「認識しない」
「カチカチ音のような異常動作」
といった状態になることがあります。

こうした状態で通電を繰り返すと、
プラッターへ傷が発生し、
スクラッチ障害へ進行する可能性があります。

起動しないHDDへ無理な通電を行わず、
早めに状態確認を行うことが重要です。

まとめ

本事例は、
Seagate ST500LM021 に発生した
ヘッド吸着(スティクション)障害のデータ復旧事例です。

ヘッドがプラッターへ吸着したことで、
HDDが正常回転できない状態となっていましたが、
状態確認と適切な処置を行うことで、
データ抽出へ進めることができました。

HDDが突然起動しなくなった場合でも、
内部状態によっては復旧可能なケースがあります。
認識不良や起動不良でお困りの際は、
秋葉原データ復旧スクラッチラボまでご相談ください。

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執筆者プロフィール

情報処理安全確保支援士。新卒で警察庁技官としてフォレンジック業務に従事。情報通信局長賞をはじめ、警察大学校附属の情報通信学校長賞など多数の表彰経験がある。その後、大手データ復旧業者を経て、株式会社FIXに入社。同社にてHDDやSSD、フラッシュメモリ、RAIDの論理障害から物理障害まで復旧業務の全工程に携わる。特にHDDの重度物理障害を得意とし、プラッターに傷が発生したスクラッチ障害を年間100件近く取り扱い、その多くを復旧に導いている。

チーフエンジニア

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