〖復旧事例〗Seagate ST2000VM003|重度ファームウェア障害とヘッド劣化からのデータ復旧

復旧事例|2026年05月26日

〖復旧事例〗Seagate ST2000VM003|重度ファームウェア障害とヘッド劣化からのデータ復旧

概要

今回ご相談いただいたのは、Seagate製HDD「ST2000VM003」のデータ復旧案件です。
他社様で復旧不可と判断され、すでに開封済みの状態でお預かりしました。

主たる障害は重度のファームウェア障害で、この影響によりHDDが全く認識しない状態となっていました。
また、内部確認の結果、ヘッドの劣化も確認されたため、ヘッド交換も実施しています。

ファームウェア障害は、HDD内部の制御情報に問題が発生し、正常な起動や認識ができなくなる障害です。
本件では、この障害をバイパスして正常認識させることで、データ抽出へ進むことができました。

ご相談時の状態

お預かりしたHDDは、通常の接続では全く認識しない状態でした。
他社様での診断後、開封済みの状態で当ラボへご相談いただいています。

ファームウェア障害による認識不良は、外観だけでは判断が難しく、
専用装置による制御確認が必要になります。

下の写真は、今回お預かりした Seagate ST2000VM003 のHDD本体です。

Seagate ST2000VM003 HDD本体
お預かりした Seagate ST2000VM003 本体

内部確認とヘッド劣化

本件では、ファームウェア障害が主たる原因でしたが、
内部確認の結果、ヘッドにも劣化が見られました。
そのため、ファームウェア障害への対応に加えて、ヘッド交換も実施しています。

下の写真は、HDDを開封して内部状態を確認した際の様子です。

Seagate ST2000VM003 開封時の内部状態
開封後に確認した内部状態

ヘッドの状態が不安定なままデータ抽出を進めると、
読み取りエラーが増えたり、作業途中で状態が悪化する可能性があります。
そのため、ヘッド交換後に読み取り状態を確認したうえで、データ抽出へ進みました。

プラッターの状態確認

データ抽出を行う前に、プラッター表面の状態も確認しました。
重度物理障害では、ヘッド側だけでなく、記録面に損傷がないかを確認することが重要です。

下の写真は、プラッターの状態を確認した際の様子です。

Seagate ST2000VM003 プラッター状態
プラッター状態の確認

本件ではプラッターのダメージは認められませんでした。

診断結果

診断の結果、復旧対象のHDDには重度のファームウェア障害が発生していました。
この障害によりHDDは正常に認識できず、通常の方法ではデータ領域へアクセスできない状態でした。

また、ヘッドの劣化も確認されたため、ヘッド交換を実施しました。

作業内容

1. ファームウェア障害のバイパス

まず、重度のファームウェア障害に対して専用装置で制御を行い、
障害をバイパスしてHDDを正常認識させる処置を実施しました。

ファームウェア障害がある状態では、HDDが自分自身の状態を正しく読み込めず、
ホスト側から全く認識されないことがあります。
本件では、この制御領域の問題を回避することで、データ領域へアクセスできる状態にしました。

2. ヘッド交換

主たる障害はファームウェア障害でしたが、ヘッドにも劣化が見られたため、
ヘッド交換を実施しました。

ヘッド交換後は、各面の読み取り状態を確認し、
ディスクイメージ取得に進める状態であることを確認しました。

3. ディスクイメージ取得と解析

HDDを正常認識させた後、不良セクタをスキップしながらディスクイメージを取得しました。
取得したディスクイメージを専用ツールで解析し、フォルダー構造を含めて可能な限りファイルを復旧しました。

復旧結果

本件では、重度ファームウェア障害とヘッド劣化を伴う状態でしたが、
ファームウェア障害のバイパスとヘッド交換により、多くのデータを復旧することができました。

技術者コメント

HDDが全く認識しない場合、基板障害やヘッド障害だけでなく、
ファームウェア障害が原因となっていることがあります。

そのため、障害をバイパスして制御を確保する作業が重要になります。

また、本件のようにヘッド劣化が併発している場合は、
ファームウェア処置だけでは安定した読み取りに進めないことがあります。
状態に応じてヘッド交換を組み合わせることで、復旧可能な範囲を広げられる場合があります。

まとめ

本事例は、Seagate ST2000VM003に発生した重度ファームウェア障害とヘッド劣化からのデータ復旧事例です。

他社様で復旧不可と判断され、開封済みの状態でお預かりしたHDDでしたが、
ファームウェア障害をバイパスして正常認識させ、ヘッド交換を行ったうえで、
不良セクタをスキップしながらディスクイメージを取得しました。

認識しないHDDや、他社様で復旧不可と判断されたHDDでも、
障害内容によってはデータ復旧できる可能性があります。
重度物理障害でお困りの際は、秋葉原データ復旧スクラッチラボまでご相談ください。

執筆者プロフィール

情報処理安全確保支援士。新卒で警察庁技官としてフォレンジック業務に従事。情報通信局長賞をはじめ、警察大学校附属の情報通信学校長賞など多数の表彰経験がある。その後、大手データ復旧業者を経て、株式会社FIXに入社。同社にてHDDやSSD、フラッシュメモリ、RAIDの論理障害から物理障害まで復旧業務の全工程に携わる。特にHDDの重度物理障害を得意とし、プラッターに傷が発生したスクラッチ障害を年間100件近く取り扱い、その多くを復旧に導いている。

チーフエンジニア

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