データ復旧|HDD|ST31000524ASの重度障害からのデータ救出

復旧事例|2026年01月19日

【復旧事例】Seagate ST31000524AS|他社復旧不可・内部粉塵発生からのデータ救出

ご相談内容

他社様にて診断を行ったところ「復旧不可」と判定されたため、再調査のご依頼をいただきました。特に業務で使用するDocuWorksファイルが必要とのことですが、他社様では物理的な損傷が激しくデータの取り出しができないとの報告を受けておられます。

ST31000524AS 外観
データ救出作業を実施したHDD(ST31000524AS)の筐体外観。

ご依頼の背景

業務で使用されていたPC内蔵のハードディスクです。ある日突然PCが起動しなくなり、異音が確認されたため最初の業者様へ依頼されました。しかし、開封診断の結果、内部部品の損傷が深刻であることを理由に返却され、セカンドオピニオンとして当店へお問い合わせいただきました。

診断結果

初期診断の結果は以下の通りです。

  • - 対象媒体:Seagate ST31000524AS
  • - 障害区分:重度物理障害
  • - 状態概要:プラッター(記録面)の円周状スクラッチ、磁気ヘッドの破損、および摩耗による磁性体粉塵の筐体内飛散
HDD内部の粉塵
プラッターの摩耗によって発生した粉塵が内部フィルターや部品に付着している状態。
プラッターの傷
プラッター表面に確認される同心円状の深い傷(スクラッチ)。

対応内容

物理的な損傷が激しいため、以下の慎重な工程で復旧作業を実施いたしました。

  • - 開封および専用溶剤を用いたプラッター表面の精密洗浄(粉塵除去)
  • - 適合するドナー部品を用いた磁気ヘッド交換および読み取り調整
  • - ファームウェア制御によるアクセス領域の制限と安定化
  • - ファイルシステム破損に対応したファイル構造解析(カービング)によるデータ抽出
内部状態の詳細画像
ヘッド交換前に徹底的なクリーニングが必要な状態でした。

復旧結果

プラッター上のデータ記録層が一部削り取られている状態でしたが、残存している領域からの読み出しに成功しました。ファイルシステム情報は損傷していましたが、以下の成果を得ております。

  • - 最重要とされていたDocuWorksファイルの正常なオープンを確認
  • - その他、破損していない領域からのドキュメントデータの救出

担当者コメント

筐体内部に粉塵が飛散するほどの物理障害は、データ復旧において最も難易度の高い状態の一つです。今回は通常の読み取り方法ではなく、ファイルのバイナリ構造を直接解析する手法が功を奏しました。異音が発生した際、無理に通電を続けるとプラッターが削れ、粉塵が発生します。異変を感じた際は直ちに通電を停止し、専門家へご相談いただくことが重要です。

まとめ

他社様で「復旧不可」と診断された場合や、物理的な損傷が激しい場合でも、アプローチを変えることで解決できるケースがございます。同様の症状でお困りの際は、諦める前に一度お問い合わせください。


執筆者プロフィール

情報処理安全確保支援士。新卒で警察庁技官としてフォレンジック業務に従事。情報通信局長賞をはじめ、警察大学校附属の情報通信学校長賞など多数の表彰経験がある。その後、大手データ復旧業者を経て、株式会社FIXに入社。同社にてHDDやSSD、フラッシュメモリ、RAIDの論理障害から物理障害まで復旧業務の全工程に携わる。特にHDDの重度物理障害を得意とし、プラッターに傷が発生したスクラッチ障害を年間100件近く取り扱い、その多くを復旧に導いている。

チーフエンジニア

データ復旧|HDD|ST31000524ASの重度障害からのデータ救出

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