業界トップクラスのデータ復旧率!最新の設備とベテランエンジニアが大切なデータを復旧・復元します。
急にデータが読めなくなった。
10日間程度
正常なファイルを280GB程度復旧(99.3%復旧)
結論としては、ファームウェア障害とヘッド故障が原因でした。以下は作業の流れです。
開封済みであったので、通電前にプラッターの状態をチェック。特にダメージ等は見受けられませんでした。ほこりが若干付着していてたため、これを取り除くためクリーニングを実施。
その後、復旧専用の装置に接続して通電したところ、シリアル情報は取得できるが容量が0で表示される、という状態でした。
一部のファームウェアが正常にロードできていないことが示唆されたので、バックアップも兼ねてファームウェアの読み取りを行いました。
その結果、トランスレイター(=プラッター上の物理的な位置と、ユーザーが通常の読み書きを行う領域のアドレスをマッピングするとても重要なファームウェア)が破損していることが判明。
HDDのプラッター上に記録されるファームウェアは冗長化されており、サブのファームウェアもあるのですが、そちらの方のトランスレイターにもエラーがありました。
冗長化されたファームウェアと相互に補完することもできない状態でしたが、正常なものと注意深く比較することで、ユニークな部分はなんとか修復できることが分かりました。
修復したトランスレイターを利用して、複数のステップを踏みつつHDDを起動。HDDに正しい容量を表示させることができました。
さっそく、データを読みこんでみますが…残念ながらファイル構造は全く確認できません。
このSeagate製のHDD、専門的にはRosewoodと呼ばれるグループに属するのですが、このグループのHDDは「一見するとデータが読めているが、全く関係の無いデータを返す」異状があります。
例にもれず今回の案件でも、このグループに特徴的な無効データが返ってきていました。
さらに、読み取りの位置を変更しながら、どのようなデータが返ってくるか調べたところ、このHDDはどこを読んでも無効データを返す状態にあることが分かりました。
この症状はトランスレイターとは別のファームウェアの異状が原因です。
そのファームウェアの修復を試みるのですが、どうやっても無効データを返す症状が治りません。
最終的にはHDDにシリアル接続して特殊なコマンドを打つことで、「どこを読んでも無効データを返す」状態は治りました。
(なぜ最初からそのコマンドを実行しないかというと、不可逆的な変化を起こし得るので、安全な手段ではないのです。可能であれば避けたい手段です。)
しかし、まだ半分のエリアに関しては、「無効なデータを返すか、別のエラーを返す」状態になりました。
このHDDはプラッター1枚、ヘッド2本で構成されています。
片方のヘッドが担当するエリアで「無効なデータを返すか、別のエラーを返す」状態であったので、ヘッド故障を仮定し、これを交換。
ようやくほぼ全てのデータを読めるようになりました。
以前の記事 WD Elements 2TB WDBU6Y0020BBK 中度物理障害
と同様、今回のHDDの片方のヘッドは「データの読み取り能力がかなり落ちているが完全には故障してはいない」状態だったのでしょう。実際、このヘッドが読み取りを行うファームウェアはある程度読むことができました。
今回のような複合的な障害の案件、特に、重篤なファームウェア障害があるものは、1つ1つ切り分け試験を行い、トラブルシューティングを行うことで問題を解決する必要があります。
また、HDD内部の状態は当然悪くなるので、開封済みであったことも難しくなった要因のひとつです。
(開封済みのものは難易度が上がりますが、現在スクラッチラボでは開封済みのHDDも追加料金なしで対応しています!!)
このモデルの復旧経験は多数あります。お困りの際は、ぜひご相談ください。