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データ復旧のスクラッチラボ 他社復旧不可/スクラッチ完全対応の秋葉原のデータ復旧

Western Digital WD60EZAX 認識しない症状のデータ復旧

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本記事でご紹介する復旧事例は、WD製のHDD WD60EZAXです。
このモデルのファミリーネームは「VeniceR Plus 2 Lite Plus」というplusが2個も含まれている少々へんてこな名前です。(もちろんC++をけなしている訳ではないですよ!!)

このファミリーはデータ復旧用専用装置「PC-3000」の2025年2月のアップデートでサポートが開始され、接続したHDDがこのファミリーであると検知できるようにはなりました。

しかし残念ながら、肝心の機能は未だ不十分です。

 

他社復旧不可 スクラッチ障害(磁性体剝離)(2024年11月)

 

症状/障害判定

HDDにアクセスできず、外付けにしてUSBで接続しても、回転している様子がない

入庫時に開封済みだったので内部点検した結果、スクラッチ障害と判定

 

作業期間

納品まで約3か月程度

 

復旧結果

お客様が必要としていた直近数か月のデータのみ

正常なファイルは25,000件程度(約40GB)
破損ファイルは2,300件程度(約16GB)

(ただし、ファイル名やフォルダー構造を喪失してしまったものも含む)

 

作業内容

復旧対象のHDDは弊社でお預かりする前に2つの業者様で復旧不可と診断されたそうです。

この時点ではデータ復旧用専用装置「PC-3000」のサポートは全く無かったため、諦めるのも無理はありません。私もこの案件は厳しそうだなぁと考えていました。

しかし、手元に偶然全く同じモデルのHDDがあり、いろいろと実験をするうちに、ひょっとしたら対応可能かもしれないことが分かりました。

 

到着時にすでに開封済みであったので、先にプラッターの状態をチェックしました。

本HDDはプラッターが3枚内蔵されており、裏表あわせて計6面がデータの記録に使用されていますが、そのうちの1つの面の全面にわたって傷が広がっていました。

 

さてこのHDDですが、装着されていた基板に半田付け作業を行った形跡がありました。(写真撮るのを忘れてしまいましたが…。)

元々の症状で「回転している様子がない」ということだったので、他社様ではまず基板故障を疑ったのだと思われます。しかし、基板交換(+ドライブ固有の情報を移植)では状態が改善されないため、沼にはまってしまったのかもしれません…。

昨今のWestern Digital製のHDDは非常に難しいです。実はヘッドのどれか(今回のHDDはプラッター3枚でヘッドが6本ついていますので、そのいずれか1本でも)が回路的に故障していると、スピンアップ(プラッターが回転)しません。

つまり、「異音も無く、スピンアップもしない = 基板故障」のような単純な図式は当てはまりません。

これまでの診断フローは通用しないのです。

従来のHDDではヘッドが故障している場合は異音が発生しましたが、最近のWDモデルでは異音が鳴っていなくともヘッドが故障しているケースもあり、本件のようにプラッターにスクラッチが発生している可能性も十分あるのです。

(ヘッドが故障したときにプラッターに余計な傷を増やさないための安全装置なのかもしれません….。)

 

傷の発生している面は、上の写真のように酷い傷が発生していますので、単純なヘッド交換による処置は無意味です。

初回はスピンアップしますが、データの読み出しを開始する前にヘッドは故障してしまいます。

 

「PC-3000」のサポート外であったため弊社でもうまく対処できた訳ではないですが、既存の機能を組み合わせ、さらにひと工夫加えたことで、本件に関してはなんとかスクラッチ障害のバイパスに成功しました。

データ抽出においてはデータ使用領域の66.8%を回収しましたが、ファイルの管理領域の取得率が47.3%に留まったため(※)、ファイル名やフォルダー構造を維持したままの復旧は半分未満となってしまいました。

しかし、それでもお客様には非常に喜んで頂けたので、あきらめずに作業をした甲斐がありました。

 

※ ファイルの管理領域自体はそんなに大きくありませんのでどれくらい取れるかは運です。スクラッチ障害が発生していても100%取れる場合もあれば、全く取れないというパターンもあります。ファイル名やフォルダー構造等まで含めて復旧するためには必須の部分であり、最終的な復旧結果に多大な影響を及ぼすのですが、作業を後半まで進めないと(少なくとも全ての障害に対処してデータ読み出しを開始できないと)どれくらい取れるか全く分かりません。完全に運です。

 

なお、HDDのシステムエリア(=ファームウェアを格納しているプラッター上の領域)にアクセスすると、とあるモジュールからファミリー名を調べることができます。

ここでは「VENRP2LP」とあり、本件を作業していた時点では「VeniceR Plus 2 Lite」というファミリーがあることは既知であったため、何処となく同じ系列だと思っていました。

「最後のPは何だろう? まさか、またPlusじゃないだろうな??」と考えていたら、「PC-3000」のアップデート後に本当にPlusであったことが判明して、笑ってしまいました。

 

残念ながら2025年2月のアップデート後でもスクラッチ障害に十分に対処できる訳ではありません。

しかし、それでも一縷の望みにかけている方がいらっしゃいましたら、是非スクラッチラボにご相談ください。

2025年3月現在、このモデルにどこまで対応できるか不明瞭な部分もありますが、本記事と同様の手法により復旧できる可能性があります。

 

 

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