〖復旧事例〗Seagate ST2000DM001|基板故障(ダイオード焼損)による認識不良からのデータ復旧
概要
今回ご紹介するのは、Seagate製HDD「ST2000DM001」に発生した基板故障によるデータ復旧事例です。
診断の結果、基板上のダイオード焼損が確認され、中度物理障害と判断しました。
ドライブ本体の記録面や磁気ヘッドに直接的な損傷は見られず、
基板側の障害を適切に処置することで、データ復旧が可能な状態でした。
ご相談時の状態
お預かり時点では、ドライブはモーターが回転せず、
通電してもOS上でストレージとして認識されない状態でした。
モーターが回転しないので、異音などの明確な物理症状は見られませんでした。
電源系統のトラブルが疑われたため、基板を中心に診断を進めました。
下の写真は、今回お預かりした ST2000DM001 の本体外観です。

基板故障の確認
本体から基板を取り外し、詳細な状態確認を行ったところ、
基板上のダイオードに焼損痕が確認されました。
ダイオードは、静電気放電(ESD)やサージ電圧などの瞬間的な過電圧からドライブを保護するための部品です。
ここが損傷すると、電源ラインが常に短絡(ショート)した状態となり、起動不良を引き起こします。

さらに、問題の箇所を拡大して確認したところ、
焼損したダイオード部分がはっきりと確認できました。

下の写真は、焼損箇所をさらに拡大した画像です。
外観上も明確な損傷が確認でき、この部品が原因であることは明らかでした。

診断結果
診断の結果、本件は基板故障(ダイオード焼損)による中度物理障害と判断しました。
記録面やヘッドには直接的な障害は確認されておらず、
基板を交換しを適切に処置することでデータ取得が可能な状態でした。
作業内容
焼損している基板部品を処置した後、ドライブを安定した状態で制御し、
ディスクイメージの取得作業を行いました。
ディスクイメージ作成の過程では、ドライブ全体のセクターを確認し、
結果として 100% のセクターを回収することができました。
取得したディスクイメージからファイル構造を解析し、
そこから必要なデータを抽出する形でデータ復旧を行っています。
復旧結果
ディスクイメージからの解析により、
保存されていたデータは完全な状態で復旧することができました。
基板故障の場合でも、障害が基板側に限定されているケースでは、
適切な処置を行うことで高い復旧率が得られることがあります。
本件はその典型的な事例といえます。
技術者コメント
基板上のダイオード焼損は、電源トラブルや外部要因によって突然発生することがあります。
見た目上は静かな故障でも、通電を繰り返すことで症状が悪化する場合があります。
認識しない、突然反応しなくなったといった症状が出た場合は、
無理に通電を続けず、早めに専門ラボへ相談することが重要です。
まとめ
本事例は、Seagate ST2000DM001 に発生した基板故障(ダイオード焼損)による中度物理障害の復旧事例です。
基板処置後にディスクイメージを取得し、全セクターを回収できたことで、
データを概ね完全な形で復旧することができました。
HDDの基板障害は一見すると深刻に見えますが、
基本的には高い確率でデータ復旧が可能なケースです。
異常を感じた際は、早めに専門業者へご相談ください。



