〖復旧事例〗Seagate ST2000DM005|スクラッチ障害が発生したHDDからのデータ復旧
概要
今回対応したのは、Seagate製HDD「ST2000DM005」です。内部の精密診断を行ったところ、
プラッター表面に明確なスクラッチ傷が発生しており、通常の読み取りが行えない
スクラッチ障害であることを確認しました。

内部診断で確認できた障害
開封後の内部確認により、記録面の一部に円状のスクラッチ傷を確認しました。
このような傷がある場合、単純にヘッドを交換しても、交換したヘッドがこわれてしまうので
一般的なデータ復旧手法では復旧不可となってしまうこしょうです。

プラッターに刻まれたスクラッチ傷(内部動画)
スクラッチ障害は通電を繰り返すほど傷が広がりやすく、ヘッドだけでなく他の記録面にも
二次的な損傷が生じる可能性があります。異音や認識不良が発生した段階で電源を切ることが重要です。
作業内容
1. 損傷領域を避けるための制御設定
スクラッチ傷が広がっている位置を特定し、ヘッドが損傷面へ触れないよう制御を行いました。
これにより、残されている読み取り可能な領域へのアクセスを確保しました。
2. 不良セクタを避けながら複製処理を実施
読み取りが可能かつ重要なデータが保存されている箇所から順に複製を行い、エラーが発生するセクタはスキップして進めました。
物理障害がある状態では負荷をかけずに処理を進めることが重要です。
3. セクタ解析とデータ抽出
複製したデータを専用ツールで解析し、フォルダ構造やファイル単位で
復旧可能な領域を抽出しました。完全な読み取りが不可能な状況でも、
必要データを可能な限り確保する方針で進めました。
復旧結果
プラッター表面にスクラッチ傷が広範囲に発生していましたが、損傷を受けていない領域から
主要データを抽出することに成功しました。読み取り困難なHDDでも、
適切な工程を踏むことでデータを救出できる場合があります。
スクラッチ障害は初期対応がそのまま結果を左右します。異音や回転停止が発生した際は、
追加の通電を避けていただくことが復旧率を大きく高めるポイントです。
技術者コメント
スクラッチ障害はHDD障害の中でも最も深刻な分類にあたり、傷そのものを元に戻すことはできません。
しかし、損傷範囲を正しく把握し、読み取り可能な部分だけを丁寧に扱うことで、
必要なデータを確保できる可能性は残されています。
都内でデータ復旧をお探しの方や、他社で復旧不可と判断されたケースでも、
状況を確認したうえで対応可能な範囲をご案内いたします。
スクラッチ障害が疑われる場合は、早めにご相談ください。



