〖復旧事例〗SAMSUNG HD502HI|ヘッド故障による重度物理障害からのデータ復旧
概要
今回ご相談いただいたのは、SAMSUNG製HDD「HD502HI」です。
突然データにアクセスできなくなり、正常に読み取りが行えない状態とのことでお預かりしました。
本機はすでに開封された履歴があり、動作状態からも内部の物理障害が疑われたため、
通電確認は最小限にとどめ、内部状態の精査を優先して対応しています。
ご相談時の症状
お客様からは、次のような症状についてご相談をいただきました。
- 一部のデータにまったくアクセスできない
- 突然HDDが正常に認識されなくなった
特定のデータだけが読めない、あるいは途中で処理が止まる症状は、
磁気ヘッド単位での障害が発生している場合によく見られます。
この段階で無理な通電を続けると、障害が拡大するおそれがあるため、
内部確認を前提とした対応に切り替えました。
内部状態の確認
開封後に内部を確認したところ、複数ある磁気ヘッドのうち、
1本が正常に動作しておらず、担当しているプラッター面の読み取りが行えない状態であることが分かりました。
ヘッド単位での障害が発生すると、そのヘッドが受け持つ領域は完全に読み取り不能となり、HDD全体が認識しなくなることもあります。
下の写真は、今回作業を行った SAMSUNG HD502HI の内部状態です。

記録面そのものに広範囲な損傷は見られなかったため、
磁気ヘッドを交換する方針で作業を進めました。
作業内容
今回実施した主な作業内容は、磁気ヘッドの交換処置です。
同型ドナーから状態の良いヘッドを選定し、安全な手順で交換を行いました。
ヘッド交換後は、各ヘッドの読み取り状態を確認しながら、
ドライブ全体のセクタを段階的に読み出す工程に移行しています。
不要な負荷を避けるため、読み取り条件を調整しつつ作業を進めました。
- SAMSUNG HD502HI
- ヘッド交換処置
- 可能な限りのセクタ抽出とデータ復旧
復旧結果
ヘッド交換後、ドライブ全体のほとんどのセクタを読み出すことができ、
多くのデータを復旧することに成功しました。
一部のフォルダでは、ヘッド障害が発生していた領域に関連する影響により、
ファイルシステム構造が失われている箇所も確認されましたが、
取得できたデータについては可能な限り復元を行っています。
技術者コメント
磁気ヘッドの不具合は、初期段階では「読み取りが遅い」「一部だけ開けない」
といった軽微な症状として現れることがあります。
しかし、状態が進行すると、今回のように特定領域が完全に読めなくなる
重度物理障害へ移行します。
「突然認識しなくなった」「異音がする」「動作が極端に遅い」といった症状が出た場合は、
通電を続ける前に専門ラボへ相談することが、データを守るうえで重要です。
秋葉原データ復旧スクラッチラボでは、ヘッド故障を含む重度物理障害の案件にも対応しています。
同様の症状でお困りの際は、お気軽にご相談ください。



