〖復旧事例〗ASUS UX21A 内蔵SSD(SanDisk SDS5JK-128G-Q)|Windowsが起動しない状態からのデータ復旧
概要
今回対応したのは、ASUS製の薄型ノートPC「UX21A」です。内蔵ストレージには SanDisk SDS5JK-128G-Q(128GB SSD)が搭載されており、
電源投入後に Windows が起動しない状態になったとのことでご相談をいただきました。
自動修復画面が繰り返し表示されるもののデスクトップまで進めず、バックアップも十分ではなかったため、
PC本体の修理ではなく内蔵SSDからのデータ復旧を優先して作業を進めました。
ここから、実際の症状・診断内容・復旧作業の流れについて順にご紹介します。
ご相談時の症状
お客様からは、次のような症状でご相談をいただきました。
- 電源を入れても Windows が起動せず、自動修復画面がループする
- システム修復を試しても改善せず、デスクトップまで進めない
- 重要なデータが内蔵SSD上にのみ保存されており、取り出したい
持ち込み時点では、電源投入後にメーカーのロゴ画面までは表示されていましたが、
その後は修復画面とエラー表示を行き来する状態で、通常起動はできませんでした。
本体外観に大きな損傷は見られず、落下や液体こぼれによるトラブルというよりも、
内蔵SSD側の不良が進行している可能性が高いと判断しました。
下の写真は、お預かり時の本体外観(天板側)の様子です。

外観レベルでは問題が見られなかったため、内部のストレージ状態を確認するために分解作業へ進みました。
本体内部とSSDの構成確認
内蔵SSDの状態を詳しく確認するため、UX21A の底面カバーを取り外し、内部構成をチェックしました。
薄型モデルは内部スペースが限られており、ケーブルやコネクタも細いため、分解時は静電気対策と物理的な負荷に注意しながら作業を行いました。

底面カバーの取り外し後は、バッテリー・ファン・基板と並んで、SSDが装着されているスロット部を確認しました。
SSDスロット周辺の状態
内部確認では、SSDが装着されている基板部分に焦げ跡や腐食はなく、
コネクタのピン曲がりや抜け、液体こぼれの痕跡も見られませんでした。
基板側には目立った物理損傷がなく、故障の中心はSSD内部の読み取り不良や制御異常と判断しました。
下の写真は、SSDスロット周辺の基板の様子です。

基板側に問題がなかったため、SSD本体を取り外し、専用装置に接続して状態を診断しました。
診断内容
取り外した SanDisk SDS5JK-128G-Q をデータ復旧用の専用装置に接続し、動作状態を確認しました。
SSD自体は応答していましたが、一部のセクタで読み取りが極端に遅くなり、タイムアウトやエラーが発生していることが分かりました。
特に、Windows の起動に関わるシステム領域を含む範囲に不良セクタが点在しており、
PC側からは起動に必要な情報を正常に読み取れない状態になっていたと判断しました。
ファームウェアそのものが完全に応答不能になっているわけではなく、
一部のアドレスでのみエラーが集中する典型的なセクタ不良型のトラブルでした。
作業内容
1. SSDからのディスクイメージ取得
まずはSSDへの負荷を抑えるため、専用装置でアクセス方法を細かく制御しながらディスクイメージの取得を行いました。
読み取りエラーが発生する領域では、リトライ回数や読み取りブロックサイズを調整し、状態を悪化させないように作業を進めました。
不良セクタがまとまって存在する範囲は、一度での連続読み出しを避けつつ、
読み取れる部分を優先的に確保する方針でイメージを作成しました。
2. イメージデータの解析とファイル構造の確認
取得したディスクイメージを専用ツールで解析し、ファイルシステムの状態を確認しました。
システム領域の一部には欠損が見られましたが、ユーザーデータ領域の多くは参照可能な状態でした。
ドキュメント・写真・業務用データなど、お客様から優先度の高いフォルダを伺い、
それらの領域から順にデータ抽出を行いました。抽出したファイルは、破損の有無を確認しながら復旧用媒体へコピーしました。
復旧結果
今回のUX21Aでは、Windows の起動に必要なシステム領域に不良セクタが発生していたため、
PCとしては通常起動ができない状態でしたが、ユーザーデータ領域については広い範囲で読み出しが可能でした。
重要フォルダを中心にデータを抽出した結果、必要とされていたファイルの多くを問題なく復旧できました。
一部のファイルでは読み取りエラーにより欠損が発生しているものもありましたが、実用上支障のない範囲での復旧となりました。
繰り返し再起動を行う前の段階でご相談いただけたこともあり、比較的良好な結果につながった案件でした。
技術者コメント
薄型ノートPCに搭載されているSSDは、外観に大きなダメージがなくても、
内部でセクタ不良や制御トラブルが進行しているケースが少なくありません。
今回のように「自動修復を繰り返して起動しない」ケースでは、システム領域に不良が発生していることが多く見られます。
起動しない状態で何度も再起動を繰り返したり、自己判断で初期化・再インストールを行ったりすると、
復旧できるデータが上書きされてしまう場合があります。
データが最優先の場合は、電源を切った状態で早めにご相談いただくことが、大切なデータを守るうえで重要です。
秋葉原データ復旧スクラッチラボでは、ASUS UX21A のようにSSDの取り外しが難しい機種でも、本体ごとお預かりし、
内蔵ストレージからのデータ復旧に対応しています。
同様の症状でお困りの際は、一度ご相談ください。
まとめ
本事例は、ASUS UX21A 内蔵SSD(SanDisk SDS5JK-128G-Q)が原因で Windows が起動しなくなったケースでした。
システム領域の不良によりPCとしての起動は困難な状態でしたが、専用装置でディスクイメージを取得し、
解析と抽出を行うことで、多くのユーザーデータを復旧することができました。
SSDトラブルは突然発生しやすく、前兆が少ないのが特徴です。
起動不良やフリーズが増えてきた段階で早めに電源を切り、専門ラボに相談することが、
結果的に復旧の可能性を高く保つことにつながります。
ノートPCの起動不良やSSD障害でお困りの際は、秋葉原データ復旧スクラッチラボまでお気軽にご相談ください。



