〖復旧事例〗PCB腐食とヘッド吸着が発生したHDDの重度物理障害からのデータ復旧
概要
今回対応したHDDは、基板(PCB)の腐食とヘッド吸着が同時に発生している重度物理障害の状態です。
通電が不安定で、通常の方法では認識できない状況からのご相談になります。
PCB洗浄、モーターコントローラーの処置、ヘッド吸着の解消を行い、読める範囲を複製して専用ツールで解析し、復旧可能なデータを確保する流れになります。
ご相談時の症状
HDDは接続してもスピンアップが安定せず、パソコン側で認識されない状態です。外観を確認すると、PCB全体に腐食が見られ、電源系・制御系の不良が疑われる状況です。


診断内容と障害ポイント
- PCB(基板)に複数箇所の腐食
- モーターコントローラー周辺の導通不良
- 内部ヘッドの吸着
PCB腐食により電源ラインが不安定な状態で、さらに内部ではヘッドがプラッターに吸着しています。
基板と内部機構の両方に影響が出る、典型的な重度物理障害のパターンです。

作業内容
1. PCBの腐食確認
はじめに、PCB全面の腐食状況を細かく確認し、動作に影響する範囲を特定します。モーターコントローラー周辺に強い腐食が見られます。
2. PCBの洗浄
腐食部分を丁寧に洗浄し、導通不良の要因を取り除きます。洗浄により基板表面が安定し、後の工程に進める状態になります。


3. モーターコントローラーの取り外し
モーター制御が安定しないため、一度モーターコントローラーを取り外して状態を確認します。



4. モーターコントローラーの再取り付け
洗浄したPCBにモーターコントローラーを再装着し、動作できる状態へ整えます(写真なし)。
5. ヘッド吸着の確認と解消
内部ではヘッドがプラッター表面に吸着して動けない状態のため、慎重に吸着を解除し動作可能な位置へ戻します。
6. データ抽出
読めないセクタを可能な限り避けながら全体を複製し、その後専用ツールで解析して復旧可能なデータを抽出します。
復旧結果
PCB腐食とヘッド吸着という複合障害が発生したHDDですが、基板処置・内部処置・複製作業を順に進めることで、取得可能なデータを安定した状態で確保できています。
技術者コメント
PCB腐食とヘッド吸着はそれぞれ単独でも動作不能につながる障害ですが、同時発生では工程が大きく増えます。
状態を悪化させるリスクもあるため、不調を感じた段階で通電を控え、早めの相談が安全につながります。



